著者の所属・活動拠点の国は、オーストラリア、アメリカです。

掲載誌:Journal of environmental chemical engineering

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、穀物ソルガムの加工で生じるふすまから、酵母の栄養となる遊離アミノ態窒素(FAN)をつくる方法を調べました。背景には、発酵生産で使う市販の窒素源や、原料を分解するために外部から加える酵素が、費用と環境負荷を増やすという課題があります。

何を、どのように調べたか

著者らは、ソルガムのふすまをコウジカビ(Aspergillus oryzae)で固体発酵させ、菌がその場でつくる酵素によって原料を分解しました。菌糸を円盤状にしたものを接種する方法と、胞子を接種する方法を同じ条件で比べたほか、発酵や原料分解の条件を調整してFAN濃度を測定しました。さらに、得られた窒素源で酵母(Saccharomyces cerevisiae)を育て、市販の栄養源である酵母エキスを使った場合と増殖速度を比較しました。

主な報告結果

菌糸の円盤を使った接種では、FAN濃度は474.4 mg/Lとなり、胞子を使った場合の256.4 mg/Lに対して、著者らは1.9倍の生産量と報告しました。発酵と原料分解の条件を最適化すると、72時間後のFAN濃度は最大5362±37 mg/L(原料乾燥重量1 g当たり14.3 mg)に達し、最適条件は温度50℃、固体と液体の比率1:2でした。ふすま由来のFANを用いた酵母の比増殖速度は0.43±0.02 h⁻¹で、酵母エキスの場合の0.45±0.01 h⁻¹と同程度でした(p=0.17)。比増殖速度は、菌体量に対してどれだけ速く増えるかを表す指標です。

この報告が示すこと

著者らは、外部から酵素を加えたり化学的に分解したりせずに、穀物加工の残りを発酵用の窒素源へ変えられる方法として、この成果を位置づけています。市販の添加栄養源への依存や、工業的な発酵に伴う環境負荷を減らす可能性を示した報告であり、それらの削減を実証したという結論ではありません。

原著論文の著者・所属:Pratul Dipta Somadder(University of Southern Queensland)、Yoonjung Seo(University of Southern Queensland)、Guangnan Chen(University of Southern Queensland)、Amin Mojiri(Arizona State University School of Sustainability)、Antoine Trzcinski(University of Southern Queensland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Pratul Dipta Somadder, Yoonjung Seo, Guangnan Chen, et al. Mycelial disc-based fungal solid-state fermentation of sorghum bran for free amino nitrogen production: A functional nitrogen source for yeast fermentation. Journal of environmental chemical engineering 2026-10-06. DOI: 10.1016/j.jece.2026.125371. 原著ライセンス:CC BY.