買ってきたカボチャがいつの間にか傷んでしまった、という経験がある人は少なくないでしょう。カボチャは比較的日持ちする野菜として知られていますが、収穫後の扱い方や保存条件によって鮮度の持続期間は大きく変わります。バングラデシュ農業研究所(BARI)の研究チームは、冬カボチャの一種である『BARI Squash-1』という品種を対象に、洗浄方法と保存温度の組み合わせが品質や保存できる日数にどう影響するかを調べました。

研究の背景には、収穫後の農産物の劣化をいかに抑えるかという、農業分野で広く関心を持たれているテーマがあります。特に流通や貯蔵の過程で品質が落ちてしまうと、生産者にとっても消費者にとっても損失につながるため、適切な保存条件を明らかにすることには実用的な意味があります。

どのような実験が行われたか

この研究は2020年1月10日から3月10日にかけて、バングラデシュ農業研究所の収穫後技術部門の実験室で行われました。実験は完全無作為配置法という手法で、3回の反復を伴って実施されています。

比較されたのは、大きく分けて二つの条件です。一つは洗浄方法で、水道水で洗う方法と、次亜塩素酸ナトリウムから調製した120ppmの塩素水で洗う方法の二通りが試されました。もう一つは保存温度で、室温にあたる25±2℃、そして8±0.5℃、12±0.5℃、16±0.5℃という三段階の低温条件が設定されました。これらの洗浄方法と保存温度の組み合わせについて、貯蔵開始から10日ごとに50日目まで、カボチャの硬さ(硬度)、ビタミンCの量、可溶性固形分(TSS、糖分などの溶け込んだ成分の総量の目安)が測定されました。

研究でわかったこと

結果として、8±0.5℃で保存し、かつ塩素水で洗浄したカボチャが、貯蔵期間を通じて最も高い硬度とビタミンC含有量を維持したと報告されています。一方、可溶性固形分については、12±0.5℃で保存し塩素水で洗浄したカボチャが最も高い値を示したとされています。

保存可能な日数(シェルフライフ)に注目すると、8±0.5℃と塩素水洗浄を組み合わせた場合が最長の57.33日となり、12±0.5℃と塩素水洗浄の組み合わせの55.33日と統計的に同程度だったことが示されています。これらの結果から、研究チームは120ppmの塩素水による洗浄と、8〜12℃程度の保存温度がカボチャの貯蔵に適していると結論づけています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は特定の品種であるBARI Squash-1という冬カボチャを対象に、バングラデシュの研究施設という限られた環境下で行われたものです。使用された塩素水の濃度や保存温度の区分も実験で設定された特定の条件であり、他の品種や異なる環境下でも同様の結果になるとは限りません。今回の情報の範囲では、著者らが挙げた具体的な限界についての記述は示されていないため、一つの研究として得られた知見であり、結論が広く確定したものではない点には留意が必要です。

なお、今回提供された著者情報や論文内容には、日本の研究機関や日本の食品・生産事情に関する言及は含まれていませんでした。

まとめ

今回の研究では、冬カボチャ(BARI Squash-1)を塩素水で洗浄し、8〜12℃程度の温度で保存することで、室温保存や水道水洗浄と比べて硬さやビタミンCの保持、保存日数の面で良好な結果が得られたと報告されています。家庭での保存環境とは条件が異なる実験結果ではありますが、農産物の収穫後の扱いが品質維持にどう関わるかを考えるうえで、一つの参考になる知見と言えるでしょう。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:MA Hossen, S Akther, HM Rashid, et al. Effect of washing method and storage temperature on quality and shelf life of winter squash. バングラデシュ農業研究ジャーナル (2026). DOI: 10.3329/bjar.v50i2.92193.