著者の所属・活動拠点の国は、ポーランドです。

掲載誌:Applied Sciences

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

肉の代わりになる植物由来の食品(代替肉)の市場は、近年ヨーロッパと北米で特に大きく成長しており、著者らによるとポーランドは主要な上位10か国に入っています。よく見られる製品はハンバーガー、パティ、ソーセージですが、生のひき肉の代わりとして使う半製品も販売されています。

著者らによると、こうした市販品の基本成分、アミノ酸、調理時のふるまい、微生物の状態を、同じ製品群でまとめて調べたデータはまだ限られていました。ある特性でひき肉に似ていても、別の特性では似ていないことがあるため、まとめて比べることで、より包括的な比較ができます。そこで研究チームは、ポーランドで販売されている、ブランドや配合の異なる3種類の植物由来ひき肉代替品を、牛・豚・鶏のひき肉と比較しました。

何を調べたか

対象は6製品で、それぞれ別々の製造ロット3つを購入して個別に分析しました。製品名とメーカーは伏せられ、植物由来製品は「アナログ1〜3」と呼ばれています。

調べた項目は大きく4つです。1つ目は水分、脂質、タンパク質、食物繊維、塩分などの基本的な成分とエネルギー量です。2つ目はアミノ酸組成です。アミノ酸はタンパク質を構成する成分で、体内で十分に作れず食事からとる必要があるものを必須アミノ酸と呼びます。3つ目は加熱したときの性質です。加熱で失われる重さ(加熱損失)、水分を保つ力(保水性)、加熱後の試料を切るのに必要な最大の力(せん断力)を調べました。せん断力は、加熱後の試料が切断にどれだけ抵抗するかを比べるための指標です。4つ目は微生物の状態で、細菌数に加え、サルモネラやリステリアなどの有無も調べました。

主な結果

基本成分では、タンパク質が最も多かったのは鶏ひき肉で19.0%でした。ほかの製品は13.1〜15.9%でした。脂質は鶏ひき肉が8.3%と最も少なく、アナログ3の9.7%とは統計的な差がありませんでした。一方、豚ひき肉は19.1%、アナログ1は19.8%で、脂質が最も多い製品でした。植物由来の3製品はいずれも食物繊維を含み、塩分はひき肉の約2〜3倍でした。ナトリウムに換算すると、100gあたりアナログ1が約604mg、アナログ2が約828mg、アナログ3が約688mgです。著者らは、高血圧の人などナトリウムを制限している人はこの値に留意すべきだとしています。エネルギー量では、植物由来製品と肉との間に一貫した違いは見られませんでした。

アミノ酸では、測定したアミノ酸全体に占める必須アミノ酸の割合の差は比較的小さく、全製品で38.64〜43.26%の範囲に収まり、植物由来製品は40.31〜40.80%でした。一方、リシンやメチオニンなど個々のアミノ酸の量は、製品によって大きく異なりました。また、乾燥重量あたり、製品100gあたり、タンパク質1gあたりのどれで比べるかによって、順位が入れ替わることも示されました。たとえばアナログ1は、タンパク質あたりでは必須アミノ酸の値が数値上最も高くなりました。アナログ2は、乾燥重量あたりでも製品重量あたりでも、アミノ酸の総量や必須アミノ酸量が一貫して最も少ない結果でした。ただし、この研究ではトリプトファンを測定しておらず、消化されやすさなどタンパク質の質を示す指標も評価していません。そのため著者らは、このデータをタンパク質の総合的な質や栄養面の同等性で製品を順位付けするために使うべきではないとしています。

加熱時の性質では、植物由来製品はいずれもひき肉より加熱損失が少なくなりました。保水性は3製品とも牛・豚ひき肉より高く、アナログ1と2は鶏ひき肉と統計的な差がありませんでした。せん断力は牛ひき肉が最も高く、アナログ1は鶏ひき肉と同程度でした。アナログ3は測定できた試料の中で最も低く、豚ひき肉の約3分の1でした。アナログ2は、加熱後にまとまった塊にはなったものの、わずかな力で崩れてしまい、せん断力を測定できませんでした。著者らは、加熱損失が少なくても肉のような食感になるとは限らないと指摘しています。

微生物の検査では、アナログ1と2は調べたすべての菌群で検出限界(その方法で検出できる最小量)を下回りました。アナログ3では好気性中温菌、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌、腸内細菌科の菌が検出されました。サルモネラは6製品のいずれでも25g中に検出されず、リステリアも全製品で検出限界未満でした。

研究が示すこと

著者らは、植物由来の代替品は一部の項目では特定のひき肉に近く、場合によってはひき肉より高い値も示したと述べています。一方で、評価したすべての特性にわたってひき肉の全体像を再現した製品はありませんでした。代替品どうしの違いも大きく、ひき肉にどれだけ似ているかは、どの特性に注目するかで変わることが示されました。著者らは、製品開発では塩分の低減、タンパク質配合の改善、加熱後も崩れにくいまとまった構造が重要だとしています。なお、調べた製品数は限られており、ポーランド市場全体に当てはめる際には注意が必要だと付け加えています。

原著論文の著者・所属:Katarzyna Pobiega(Department of Food Biotechnology and Microbiology, Institute of Food Sciences, Warsaw University of Life Sciences—SGGW, 159C Nowoursynowska St., 02-776 Warsaw, Poland)、Anna Maria Kot(Department of Food Biotechnology and Microbiology, Institute of Food Sciences, Warsaw University of Life Sciences—SGGW, 159C Nowoursynowska St., 02-776 Warsaw, Poland)、Alicja Synowiec(Department of Food Biotechnology and Microbiology, Institute of Food Sciences, Warsaw University of Life Sciences—SGGW, 159C Nowoursynowska St., 02-776 Warsaw, Poland)、Iwona Szymańska(Department of Food Technology and Assessment, Institute of Food Sciences, Warsaw University of Life Sciences—SGGW, 159C Nowoursynowska St., 02-776 Warsaw, Poland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Katarzyna Pobiega, Anna Maria Kot, Alicja Synowiec, et al. Quality Attributes of Selected Minced Meat Products and Plant-Based Alternatives: A Comparative Study. Applied Sciences 2026-09-23. DOI: 10.3390/app16199459. 原著ライセンス:CC BY.