著者の所属・活動拠点の国は、カナダです。

掲載誌:Frontiers in Plant Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

植物の内部にすむ細菌をインゲンで評価

研究チームは、植物の内部にすむ「内生細菌」を利用した処理が、インゲンの発芽から収穫までにどのような影響を及ぼすかを調べました。農業で使う資材の環境負荷を抑える生物学的な手段を探るなかで、成長初期の反応だけでなく、収量まで含めて効果を確かめることが研究の目的です。

対象は、アサとクサノオウから分離された細菌です。研究チームは、バチルス・サブチリスのBS-114株などを用い、黄色いさやをつけるインゲン品種で発芽試験、温室試験、圃場試験を行いました。生きた菌体に加え、培養液から菌体を取り除いた液、複数の菌株を混ぜた処理、肥料との併用などを比較し、根や茎葉の成長、光合成、開花、さやの収穫量を評価しました。

根の成長と収穫量では、効果の現れ方が異なる

発芽試験では、BS-114株の処理で3日目の発芽率が対照より有意に高くなりました。ただし、培養を続けると最終的な発芽率は各処理で同程度になり、主な違いは発芽の早さにありました。苗の根にも反応が見られ、根の総延長は、対照に比べてBS-114株で71.3%、シュードモナス・ワデンスウィレレンシスのPPW-26株で51.7%増加し、いずれも統計的に有意でした。

温室では、生きた菌体と、菌体を取り除いた培養液とで異なる反応が報告されました。PPW-26株の生きた菌体を使う処理では光合成速度が有意に上昇した一方、BS-114株の菌体を取り除いた液では、累積のさや数が対照より65.3%、累積のさやの生重量が94.2%増加し、いずれも有意でした。著者らは、光合成など一つの指標の上昇だけでは、収穫量の違いを十分に説明できないとしています。

生育全体を通して効果を捉える

圃場でも、著者らは一部の細菌処理で、通常の肥料や市販の生育促進資材に匹敵する収量増加が得られたと報告しています。ただし、1株当たりの平均さや生重量については、対照より高い値を示した処理があったものの、処理間に統計的に有意な差はありませんでした。また、土壌中の細菌の構成や一部の養分には処理ごとの違いが見られましたが、微生物群集全体が大きく組み替わるような変化は認められませんでした。

この研究が示すのは、細菌処理の効果が菌株や使い方、植物の生育段階によって変わるということです。著者らは、発芽や光合成の強い反応だけでなく、開花からさやの発達までが継続して支えられるかどうかが、収量への効果を捉えるうえで重要だと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Mohammad Jamil Kaddoura(Department of Food Science and Agricultural Chemistry, McGill University)、Laura Amaya-Quiroz(Department of Food Science and Agricultural Chemistry, McGill University)、Jamil Samsatly(Biosun Solutions, Chambly, QC, Canada)、Hacene Meglouli(Biosun Solutions, Chambly, QC, Canada)、Saji George(Department of Food Science and Agricultural Chemistry, McGill University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mohammad Jamil Kaddoura, Laura Amaya-Quiroz, Jamil Samsatly, et al. Greenhouse and field evaluation of bacterial endophytes from Cannabis sativa and Chelidonium majus reveals beneficial stage-dependent growth and yield responses in common bean. Frontiers in Plant Science 2026-08-27. DOI: 10.3389/fpls.2026.1922467. 原著ライセンス:CC BY.