著者の所属・活動拠点の国は、韓国です。
掲載誌:Healthcare
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
菓子パン、インスタント麺、清涼飲料、加工肉、ファストフードのように、工業的な加工を経て作られ、すぐに食べられる食品は「超加工食品」と呼ばれます。研究チームによれば、こうした食品を多くとることは、肥満や高血圧などの心血管・代謝系の健康問題との関連が報告されています。韓国では、成人が1日にとるエネルギーのおよそ4分の1を超加工食品が占めるとされています。
一方、韓国の伝統医学には、体格や気質、消化や発汗などの体の働きから人を体質ごとに分ける「四象体質」という考え方があります。これまでの研究では、体質によって肥満や高血圧へのなりやすさが異なることが報告されてきました。しかし、超加工食品と健康との関連が体質によって違うかどうかを調べた研究はありませんでした。そこで著者らは、超加工食品の摂取と、その後の体組成、血圧、睡眠の変化との関連が、体質によって異なるかを調べました。
何をどのように調べたか
研究チームは、韓国・大田で行われている追跡調査の参加者のうち、30歳以上の成人182人を分析しました。最初の調査は2015〜2017年、追跡調査は2019〜2021年に行われ、追跡期間は平均6.3年でした。
食事は最初の調査時にだけ、63品目の食品をどのくらいの頻度で食べるかを尋ねる質問票で調べました。食品を加工の程度で4群に分ける国際的な分類「NOVA」に基づき、1日の総摂取エネルギーのうち超加工食品から得たエネルギーの割合を計算しました。
体質は、体格、性格、体の症状に関する15項目からなる質問票で、太陰人(テウム)、少陰人(ソウム)、少陽人(ソヤン)の3タイプに分類しました。内訳は太陰人97人、少陰人33人、少陽人52人です。伝統的には太陽人を含む4タイプがありますが、太陽人は韓国の人口の0.1%未満と非常に少ないため、分析の対象に含まれていません。
体重、BMI、腹囲、体脂肪量、血圧、睡眠の状態を2回の調査で測定し、その変化量を調べました。分析では、年齢、性別、総摂取エネルギー、飲酒、喫煙、身体活動、代謝疾患の有無、最初の調査時の値の影響を考慮しました。
主な結果
少陰人では、超加工食品からのエネルギーの割合が1%高いごとに、追跡期間中の体重の増加が0.27kg、BMIの増加が0.09、体脂肪量の増加が0.15kg大きいという関連がみられました。参加者を摂取割合で3つのグループに分けた分析でも、少陰人では摂取割合が高いグループほど体重とBMIが増える傾向が確認されました。
少陽人では、超加工食品の割合が1%高いごとに、上の血圧(収縮期血圧)の上昇が0.36mmHg大きいという関連がみられました。太陰人ではどの項目にもはっきりした関連はなく、睡眠についてはどの体質でも関連はみられませんでした。
ただし、超加工食品と体質の組み合わせによって関連の強さが統計的に異なるかを直接確かめる検定では、どの項目でも有意な差は認められませんでした。著者らはこの点を踏まえ、体質ごとの結果は探索的なものとして慎重に解釈すべきだとしています。
研究が示すこと
この研究は、超加工食品を多くとる人ほど、体質によっては体重や体脂肪、あるいは血圧が好ましくない方向に変化しやすいという関連を報告しました。体質間の違いは統計的には確認されておらず、参加者も少ないため、結果は予備的な位置づけです。それでも著者らは、食事の評価に体質という視点を加えることが、心血管・代謝系の病気の予防を考えるうえで手がかりになりうると述べています。
原著論文の著者・所属:Jieun Kim(Division of Korean Medicine Data, Korea Institute of Oriental Medicine, Daejeon 34054, Republic of Korea)、Eunsu Jang(Department of Korean Medicine, Daejeon University, Daejeon 34520, Republic of Korea)、Siwoo Lee(Department of Korean Medicine, Gachon University, Incheon 21936, Republic of Korea)、Kyoungsik Jeong(Division of Korean Medicine Data, Korea Institute of Oriental Medicine, Daejeon 34054, Republic of Korea)、Younghwa Baek(Division of Korean Medicine Data, Korea Institute of Oriental Medicine, Daejeon 34054, Republic of Korea)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jieun Kim, Eunsu Jang, Siwoo Lee, et al. Associations of Ultra-Processed Food Intake with Body Composition and Blood Pressure Across Sasang Constitution Types: A Prospective Cohort Study. Healthcare 2026-10-26. DOI: 10.3390/healthcare14213618. 原著ライセンス:CC BY.