日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。
掲載誌:Scientia Horticulturae
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
換気量と水の使われ方を調べる
温室などの半閉鎖型の栽培環境では、換気によって外から二酸化炭素が供給される一方、内部の水蒸気が外へ排出されます。研究チームは、換気量を減らすとキュウリ苗の成長と水消費がどう変わるかを調べました。着目したのは、消費した水に対してどれだけ乾物(水分を除いた植物体の重さ)が増えたかを示す「水利用効率」です。
換気を減らしすぎると効率が低下
最初の実験では、半閉鎖型の栽培チャンバーで換気量を4段階に設定し、キュウリ苗を7日間育てました。換気量が少なくなるほど、内部の二酸化炭素濃度と、空気が水分を奪いやすい程度を表す飽差がともに低下しました。
中程度の換気量では、乾物の増加量が減る以上に水消費量が減ったため、水利用効率が高まりました。しかし、換気量を極端に少なくすると、水消費量よりも乾物の増加量の落ち込みが大きくなり、水利用効率は低下しました。この実験条件では、中程度の換気量で水利用効率が最も高くなりました。
成長と水消費は同じようには変わらない
次の実験では、2段階の換気量に加湿または除湿を組み合わせ、二酸化炭素濃度と飽差の異なる条件をつくりました。葉の光合成能力との関係を調べたところ、換気を強く制限した際の光合成能力の低下は、二酸化炭素濃度と飽差がともに低い条件で見られたと著者らは報告しています。
この研究が示すのは、換気を減らしたとき、植物の成長と水消費は同じ割合では変化しないということです。今回のキュウリ苗の栽培条件では、水消費の抑制と成長の維持の釣り合いによって、水利用効率が最大になる換気量が決まりました。
原著論文の著者・所属:Toshio Shibuya(Graduate School of Agriculture, Osaka Metropolitan University, 1–1 Gakuen-cho, Naka-ku, Sakai, 599–8531, Japan)、Shota Ueda(Graduate School of Agriculture, Osaka Metropolitan University, 1–1 Gakuen-cho, Naka-ku, Sakai, 599–8531, Japan)、Taira Kitano(College of Life, Environment, and Advanced Sciences, Osaka Prefecture University, 1–1 Gakuen-cho, Naka-ku, Sakai, 599–8531, Japan)、Ryosuke Endo(Graduate School of Agriculture, Osaka Metropolitan University, 1–1 Gakuen-cho, Naka-ku, Sakai, 599–8531, Japan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Toshio Shibuya, Shota Ueda, Taira Kitano, et al. Water-use efficiency peaks at an intermediate ventilation rate in cucumber seedlings grown in a semi-closed chamber system: asymmetric responses of carbon gain and water loss. Scientia Horticulturae 2026-09-01. DOI: 10.1016/j.scienta.2026.115152. 原著ライセンス:CC BY.