著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Bio-Geo Material Dan Energi

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

麺は一般に小麦粉から作られます。インドネシアのジャンビ大学の研究チームは、小麦が育たない地域で地元の作物を麺の原料に生かす方法を探っています。今回取り上げたのは、紫色の芋である紫ヤム(ダイジョ)です。紫ヤムの紫色は、アントシアニンという色素によるものです。

著者らによると、紫ヤムを粉にして生麺に混ぜた過去の試みでは、見た目や好まれ方が悪くなりました。食感を良くするためにかん水(アルカリ性の水)を使うと、麺が灰色っぽくなる問題もありました。そこで研究チームは、紫ヤムを粉にせず、蒸してすりつぶしたペーストとして使う方法に注目しました。

ただし、ペーストは水分が多く、それだけでは麺の形を保つ力が足りません。研究チームの以前の試作では、紫ヤムペースト60、小麦粉20、米粉20の割合で、ある程度受け入れられる麺ができていました。それでも麺が切れやすく、魅力に欠けたといいます。加熱すると固まってゲルになる卵白のたんぱく質がこの弱点を補えるかを確かめるため、卵白の量を変えて麺の性質と食べた人の評価を調べました。

何を調べたか

研究チームは、紫ヤムペースト、小麦粉、米粉を合わせた重さを基準に、卵白を0%、2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%の7段階で加えた生麺を作りました。それぞれ3回ずつ繰り返して作っています。

測定した項目は次のとおりです。麺がちぎれるまでにどれだけ伸びるか(伸長率)、芯がなくなるまでのゆで時間、ゆでる間に湯へ溶け出す固形分の割合(ゆで損失)、水分量、たんぱく質量、色です。さらに、農産物加工を学ぶ学生25人が、色、香り、味、食感、総合的な好ましさを5段階(1が「とても嫌い」、5が「とても好き」)で評価しました。

主な結果

卵白を増やすほど、麺はよく伸びるようになりました。伸長率は卵白なしの10.79%から、15%添加では16.22%に上がりました。ゆで時間も150秒から220秒へと長くなりました。一方、ゆで損失は4.05%から2.32%へ減りました。水分量とたんぱく質量も、卵白が増えるにつれて高くなる傾向でした。著者らはこれらの変化について、卵白のたんぱく質が加熱で固まり、小麦のグルテンやでんぷんと結びついて、より密で丈夫な構造を作った可能性があると考察しています。

色は、どの麺も「暗い灰色がかった青」に分類されました。卵白が多いと明るさがやや増し、赤みは弱まりました。

食べた人の評価では、色と味の好ましさが卵白15%で最も低くなりました。香りと食感の評価には、統計的に意味のある差は見られませんでした。総合的な好ましさは卵白なしが最も低く(3.36)、論文の表では10%添加が最も高い4.36、7.5%添加が4.08でした。12.5%以上に増やすと、評価は下がる傾向でした。

研究が示すこと

研究チームは、伸びやすさ、ゆで特性、成分、色、食べた人の評価を総合的に見て、卵白7.5%の添加が最もバランスのよい条件だと結論づけました。卵白を加えると麺は丈夫になり、ゆで崩れしにくくなります。ただし入れすぎると、色や味の好まれ方が下がります。この研究は、地元産の紫ヤムを生かした麺づくりで、卵白が品質を高める材料として役立ちうること、そして加える量に適した範囲があることを示しています。

原著論文の著者・所属:Ulyarti Ulyarti(Department of Agricultural Technology, Faculty of Agriculture, University of Jambi, Jambi, Indonesia)、Olivia Idovani Purba(Department of Agricultural Technology, Faculty of Agriculture, University of Jambi, Jambi, Indonesia)、Mursyid Mursyid(Department of Agricultural Technology, Faculty of Agriculture, University of Jambi, Jambi, Indonesia)、Ika Putri Sulistiana(Department of Agricultural Technology, Faculty of Agriculture, University of Jambi, Jambi, Indonesia)、Tesy Pratami(Department of Agricultural Technology, Faculty of Agriculture, University of Jambi, Jambi, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ulyarti Ulyarti, Olivia Idovani Purba, Mursyid Mursyid, et al. Enhancing the Physicochemical and Sensory Properties of Purple Yam Wet Noodles through Egg White Addition. Jurnal Bio-Geo Material Dan Energi 2026-08-30. DOI: 10.22437/rb6tgh98. 原著ライセンス:CC BY.