この研究は、チュニジアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
メルゲーズはチュニジアの食文化に深く根ざした腸詰めで、天日干しにしたもの(乾燥メルゲーズ)は独特の組成をもち、エネルギー消費の少ない製法で作られます。発酵させた食肉製品や機械で乾燥させた食肉製品とは異なり、天日干しメルゲーズは8〜12日かけて太陽光で自然に水分を抜くという、ただ一段階の工程だけで仕上がります。
ところが著者らによれば、この製品の物理化学的な性質、化学組成、栄養面の特徴についてはこれまで限られた情報しか得られていませんでした。研究チームはこの空白を埋めるため、乾燥の進行にともなう性状の変化を追跡し、生のメルゲーズと乾燥メルゲーズについて化学組成と微生物叢を分析しました。
報告された主な結果
論文の報告では、天日乾燥によって水分が17.0%まで、水分活性が0.675まで、pHが5.56まで有意に低下しました。水分活性とは、食品中の水のうち微生物が利用できる状態にある水の割合を示す指標で、この値が下がるほど微生物は増えにくくなります。著者らは、これらの低下が微生物学的な安定性と安全性を確保したとしています。
乾燥メルゲーズは乳酸(1865 mg/kg)をはじめとする低分子の有機酸に富み、ミネラル、とくに鉄(100 gあたり13.5 mg)を多く含んでいたと報告されています。脂肪酸の組成についても、尾脂(羊の尾に蓄えられる脂肪)に由来してオレイン酸をはじめとする成分の構成が良好になったとされています。
また、この製品は香辛料とハーブを15%含むという特徴をもち、そのために揮発性成分(香りのもとになる、揮発しやすい化合物)の構成はテルペン類が67%を占めていました。著者らは、これが乾燥メルゲーズ特有の風味をもたらしているとし、健康面への寄与の可能性にも言及しています。
この研究が示すこと
著者らは本研究によって、天日干しメルゲーズの栄養面での価値が明らかになったと述べています。伝統的に受け継がれてきた製法とその産物を科学的に記述したこの知見は、関係者がこの食文化遺産を向上させ、守っていくうえでの手がかりになる、というのが論文の結論です。
著者:Khaoula Belguith(Physiopathology, Food and Biomolecules Laboratory (LR17ES03), Higher Institute of Biotechnology Sidi Thabet, University of Manouba, Ariana 2020, Tunisia)、Zeineb Jrad(Higher Institute of Applied Biology, University of Gabes, Medenine 4100, Tunisia)、Amna Chahbani(Higher Institute of Applied Biology, University of Gabes, Medenine 4100, Tunisia)、Mohamed Dbara(Central Laboratory, Institute of Arid Land, University of Gabes, Medenine 4100, Tunisia)、Talel Bouhemda(Central Laboratory, Institute of Arid Land, University of Gabes, Medenine 4100, Tunisia)、Mohamed Hammadi(Livestock and Wildlife Laboratory (LR16IRA04), Institute of Arid Land, University of Gabes, Medenine 4100, Tunisia)、Halima El Hatmi(Higher Institute of Applied Biology, University of Gabes, Medenine 4100, Tunisia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Khaoula Belguith, Zeineb Jrad, Amna Chahbani, et al. Characterization of Tunisian Sun-Dried Merguez: Physicochemical and Compositional Changes During Drying. Foods 2026-09-07. DOI: 10.3390/foods15173160. 原著ライセンス:CC BY.