この研究は、ナイジェリア、ガーナの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
生姜(ジンジャー)は香辛料や健康志向の食材として世界中で親しまれていますが、栽培や乾燥、流通の過程でカビ毒(マイコトキシン)や重金属による汚染を受けやすい作物でもあります。特に「アフラトキシン」と呼ばれるカビ毒は、穀物やナッツ類の汚染で知られていますが、生姜のような根茎作物でも問題になり得ることが指摘されています。今回紹介する研究は、ナイジェリアのカドゥナ州とオヨ州において、生姜の生産から市場に至るバリューチェーン全体でアフラトキシンと重金属の汚染状況を調べ、さらに乳酸菌を使ってアフラトキシンを減らせるかを検証したものです。
研究チームは、カドゥナ州(ジャバ、カチア、ザンゴの各地域)で51点、オヨ州(イバダン・ノース、イバダン・ノースイースト、イバダン・ノースウエスト、イバダン・サウスウエストの市場)で44点の生姜サンプルを収集しました。これらについて、4種類のアフラトキシン(B1、B2、G1、G2)と、水銀・カドミウム・鉛・銅・亜鉛・クロムという6種類の重金属の含有量を調べ、あわせて健康リスクの評価も行いました。
研究でわかったこと
アフラトキシンについては、カドゥナ州のサンプルの半数(50%)、オヨ州のサンプルは全て(100%)から検出されたと報告されています。基準となる「総アフラトキシン濃度10 ng/g」という値との比較では、カドゥナ州では乾燥させて割った状態のサンプルの18〜60%、生の状態のサンプルの17〜83%がこの値を超えていました。オヨ州ではさらに汚染度が高く、乾燥・割った状態のサンプルの67〜100%、そして生および粉末状態のサンプルは100%がこの基準を超えていたとされています。
重金属に関しては、水銀の一日あたりの摂取許容量(0.23 mg/kg体重/日)について、カドゥナ州のサンプルでは推定摂取量が0.572 mg/kg体重/日となり、この許容量を上回っていたと報告されています。それ以外の重金属はいずれも許容範囲内でした。鉛については、明確な一日摂取許容量の基準は定められていないものの、カドゥナ州のサンプルからは検出されなかった一方、オヨ州のサンプルでは検出され、推定摂取量は0.007 mg/kg体重/日とされています。
さらに、アフラトキシンB1の推定一日摂取量(PDI)は、オヨ州のサンプルで4.1 µg/kg体重/日、カドゥナ州のサンプルで1.5 µg/kg体重/日と算出されました。アフラトキシン全体の暫定的な一日耐容摂取量の上限は2 µg/kg体重/日とされており、特にオヨ州の推定摂取量はこの基準を上回っていたことになります。
研究チームはまた、アフラトキシンを人為的に添加した生姜サンプル(50 ng/g)を用いて、乳酸菌によるアフラトキシンの「解毒」(濃度低減)を試みました。その結果、Lactiplantibacillus plantarum ATCC 8014株およびLactobacillus helveticus ATCC 15009株を、単独あるいは組み合わせて120時間培養したところ、アフラトキシン濃度が50%減少したと報告されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、ナイジェリアの特定の2州における生姜のサンプルを対象にした調査であり、他の地域や生産条件の生姜に同様の結果が当てはまるかどうかは、この要旨の情報だけでは分かりません。また、乳酸菌によるアフラトキシン低減の実験は、人為的にアフラトキシンを添加したサンプルを使った実験室レベルの検証であり、実際に市場に流通している生姜への応用や、食品としての安全性・効果を保証するものではない点にも注意が必要です。一つの研究として示された知見であり、結論が確定したわけではありません。
まとめ
今回紹介した研究では、ナイジェリアの2州で流通する生姜の多くからアフラトキシンが検出され、一部地域では水銀や鉛の推定摂取量が許容基準を上回る可能性が示唆されました。あわせて、乳酸菌を用いることでアフラトキシン濃度を実験的に減らせる可能性があることも示されています。研究チームは、生姜のバリューチェーン全体を通じたアフラトキシンや重金属の管理の必要性を指摘しています。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):ナイジェリア・カドゥナ州およびオヨ州における生姜のバリューチェーン全体でのアフラトキシンおよび重金属評価とプロバイオティクスによるアフラトキシン解毒(フーズ・2026年07月)
著者:Titilayo D. O. Falade(International Institute of Tropical Agriculture, Ibadan 200001, Oyo State, Nigeria)、Iyanu Lydia Ibrahim(International Institute of Tropical Agriculture, Ibadan 200001, Oyo State, Nigeria)、Kolawole Banwo(International Institute of Tropical Agriculture, Ibadan 200001, Oyo State, Nigeria)、Valery Pierre Sinda-Kemdoum(International Institute of Tropical Agriculture, Cotonou 0932, Benin)、Rousseau Djouaka(International Institute of Tropical Agriculture, Accra P.O. Box M32, Ghana)