著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Acta Innovations

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

オーガニック食品の需要は世界的に伸びてきました。買い物客は、農薬の使い方などの生産過程を店頭で自分で確かめられません。そのため、オーガニック表示や認証マークを頼りに、本物かどうかを判断しています。一方で、偽りの表示や誤表示の事例が報じられ、認証そのものへの信頼が揺らぐ可能性も指摘されています。

この論文の著者らは、消費者が「表示は本物だ」と感じる気持ち(本物らしさの認識)と、「表示に不正があるかもしれない」と感じる気持ち(不正リスクの認識)が、オーガニック認証への信頼にどう関わるのかを調べました。研究チームは、本物らしさの認識は信頼を高め、不正リスクの認識は信頼を下げる、という二つの仮説を立てています。

何を調べたか

著者らは、これまでの研究を整理しました。その結果、表示への信頼や支払意思額(追加でいくら払ってもよいか)を扱った研究は多い一方で、本物らしさの認識と不正リスクの認識を合わせて信頼との関係を調べた研究は少ないと指摘しています。

分析には126人の回答者(男性60人、女性66人)のデータが使われました。研究チームはまず、認証への信頼に影響する要素として何を最も重視するかを尋ねました。次に、信頼、本物らしさ、不正リスク、価格についての回答の間の関係を、相関分析と回帰分析で調べました。回帰分析は、複数の要素を同時に考えたとき、それぞれが信頼とどの程度結びついているかをみる統計手法です。

主な結果

信頼に影響する要素として最も多く選ばれたのは、「認証内容が分かりやすく表示されていること」と「生産過程が透明であること」で、それぞれ回答者の33.3%でした。「オーガニック認証についての啓発活動」も28.6%が選びました。これに対し、「認証機関の評判」を選んだ人は4.8%にとどまりました。著者らはこの結果を、消費者は認証機関の格よりも、透明で分かりやすい情報伝達を重視していることを示すものと解釈しています。

三つの要素を同時に考えた回帰分析では、モデル全体は統計的に意味のある結果となりました。ただし、信頼のばらつきのうち説明できたのは13.4%(自由度調整済みで11.3%)にとどまりました。要素ごとにみると、価格は信頼と統計的に有意な負の関連を示し、三つの中で最も影響が大きい要素でした。著者らは、価格が高いと受け止められるほど信頼が低い傾向として解釈しています。

本物らしさの認識は、信頼とプラス方向の関連を示しましたが、統計的に有意ではありませんでした。不正リスクの認識も、この分析では信頼との有意な関連がみられませんでした。最初に立てた二つの仮説は、この回帰分析では支持されなかったことになります。なお、単純な相関分析では、不正リスクの認識と信頼との間に弱い負の関連が報告されています。

研究が示すこと

著者らは、オーガニック表示への信頼は、本物らしさや不正への懸念だけで決まるものではないと結論づけています。価格の受け止め方、情報の透明性、消費者の知識といった、より幅広い要因の中で形づくられるという見方です。分析したモデルで説明できた部分が小さいことから、著者らは、消費者教育や認証の透明性など、今回のモデルに含まれなかった要因の影響が大きい可能性も挙げています。

そのうえで論文は、価格の理由を丁寧に説明すること、認証の手順を分かりやすく伝えること、厳格な認証手続きで信頼性を保つことの重要性を示しています。表示があるだけでは信頼は生まれず、その背景をどう伝えるかが問われていることを示す研究といえます。

原著論文の著者・所属:Dharini R(Ph.D Research Scholar,Department of Commerce, B.S. Abdur Rahman Crescent Institute of Science and Technology, Chennai, Tamilnadu, India)、Dr. C. Srinivasan(Assistant Professor, Department of Commerce, B.S.Abdur Rahman Crescent Institute of Science and Technology, Chennai, Tamilnadu, India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dharini R, Dr. C. Srinivasan. CONSUMER TRUST IN ORGANIC LABELS: PERCEPTIONS OF AUTHENTICITY AND FRAUD RISKS. Acta Innovations 2026-10-26. DOI: 10.62441/actainnovations.vi.2374. 原著ライセンス:CC BY.