著者の所属・活動拠点の国は、マレーシアです。
掲載誌:Quantum Journal of Social Sciences and Humanities
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
マレーシアのペナンでは、多様な文化を反映する郷土料理が、地域の文化的な特色や観光の魅力を支えています。研究チームは、若い消費者層であるZ世代が郷土料理をどう評価するのかを理解するため、食に感じる感情面の価値、社会的な評価に関わる価値、品質面の価値という3つの側面と、料理への好意的な態度との関係を調べました。
何を、どのように調べたか
対象は、ペナンの郷土料理を食べた経験がある、マレーシアの18~29歳の431人です。研究チームは、WhatsApp、Instagram、Facebookのグループを通じてオンライン質問票を配布し、4週間にわたって回答を集めました。無作為に対象者を選ぶのではなく、オンラインで参加を募る方法を用いました。
質問票では、各記述にどの程度同意するかを5段階で尋ねました。感情面の価値は、食べることで感じる幸福感、懐かしさ、安心感、文化とのつながりなどを指します。社会的な評価に関わる価値は、その料理を食べることに伴う社会的な地位や仲間からの承認、品質面の価値は、料理の優れた品質、本物らしさ、品質の安定性などを意味します。
研究チームは、それぞれの価値と郷土料理への態度との関連を調べたうえで、3つの価値を同時に扱う回帰分析を行い、ほかの価値も考慮したときの関連の強さを比較しました。
主な報告結果
研究チームは、3つの価値のいずれも、高く評価する人ほどペナンの郷土料理に好意的な態度を示すという、統計的に有意な関連を報告しました。3つを同時に扱った分析では、社会的な評価に関わる価値の関連が最も強く、次いで品質面、感情面の順でした。関連の強さを共通の尺度で比較する標準化係数は、それぞれ0.31、0.22、0.18でした。
また、論文によると、この3つの価値を組み合わせた分析モデルは、回答者間にみられる郷土料理への態度の違いの41%を説明しました。これは、回答者の41%が好意的だったという意味ではなく、態度のばらつきをモデルがどの程度捉えたかを示す数値です。
この報告が示すこと
著者らは、参加しやすい人から回答を集めたことや、本人の申告に基づく調査であることから、結果の一般化や回答の偏りに限界があると述べています。また、一時点の調査なので、これらの価値が好意的な態度を生み出したという因果関係までは確かめられません。調べたのは態度であり、再訪や推奨といった行動そのものではありません。
著者らは、若い世代に郷土料理の魅力を伝えるには、食の品質を保つだけでなく、食体験が持つ社会的な意味や文化的・感情的なつながりにも目を向けることが重要だと結論づけています。
原著論文の著者・所属:MUHAMAMAD NAIM ZUHRI(Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)、NASRUL NA'IM NASRUL RAHMAT(Four Seasons Resort Langkawi, Kedah, Malaysia)、NOR FARAWAHIDAH MOHD KHAMIS(Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)、ELYSSA MAISARA AHMAD RUSSLIN(Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)、SITI IDA ISNAINIE MD MUBIN(Universiti Teknologi MARA (UiTM) Penang Branch, Penang, Malaysia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):MUHAMAMAD NAIM ZUHRI, NASRUL NA'IM NASRUL RAHMAT, NOR FARAWAHIDAH MOHD KHAMIS, et al. UNDERSTANDING GEN-Z’S ATTITUDE TOWARDS PENANG’S LOCAL FOOD: THE ROLE OF EMOTIONAL, PRESTIGE, AND QUALITY-VALUES. Quantum Journal of Social Sciences and Humanities 2026-11-07. DOI: 10.55197/qjssh.v7si5.1735. 原著ライセンス:CC BY.