著者の所属・活動拠点の国は、エストニアです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite

研究の目的

著者らは、ユダヤ教の食事規定「カシュルート」に対応した厨房がないホテルや研修施設で、団体向けの食事を計画・提供する方法を整理しました。ポーランドと周辺国で、食事規定や安息日を守りながら数日から数週間滞在する団体を受け入れる際の実務を扱っています。

この報告の目的は、ある事業者の経験をもとに、献立、仕入れ量、厨房の作業体制をどう組み立てるかを示すことです。著者らは、団体の特徴と食べ残しの記録を計画に反映させ、必要量をより正確に見積もることを目指しています。

何を、どのように調べたか

著者らは、2023~2026年に実施した青少年キャンプ、成人向けの滞在行事、ハイキング旅行などの内部記録を用いました。資料には献立、14分類・約160品目の買い物リスト、日ごとの食材必要量を記した管理表、各行事の終了後の記録が含まれます。典型的な団体規模は25~35人または90~110人で、いずれの滞在にも少なくとも1回の安息日が含まれていました。顧客団体からの推薦状3通も、実施内容の一部を確認する資料としました。

食材の消費量を詳しく示したのは、活動的な高齢者約30人が山間部で1週間過ごした1件の旅行です。朝食、携行する昼食、夕食、安息日の食事について、計画量と実際に消費された量を比較しました。

運営方法として整理したのは、滞在中に施設の厨房を宗教上の要件に適合させて現地調理する方式と、認証を受けたコーシャ厨房から料理を届ける方式です。献立を決める前に年齢、活動内容、生活時間、アレルギー、宗教上の要件などを確認し、各料理の1人分の重量に、その料理を食べる人の割合と人数、食材別の予備分を掛けて必要量を計算していました。

主な報告結果

約30人の高齢者の旅行では、従来の基準で計画した量が、複数の食品で実際の消費量を上回りました。パンは計画量の約半分で足りる結果でした。パンなどにつけるフムスは約50%、タヒニは約60%、鶏肉は約25%が残った一方、牛肉は全量が消費され、魚は計画量が適切だったと報告されています。

著者らはこの経験を受け、同様の活動的な高齢者の団体では、パン、スプレッド類、コーヒーの基準量をおよそ半分にし、鶏肉は約20%減らし、牛肉は変えない計画にしたと述べています。ただし、ほかの団体では食べ方が異なり、ロシア語を話す10代の参加者はパンをより多く食べるという実務上の観察も記しています。

厨房運営については、宗教上の基準を決めるラビ、その遵守を確認する監督者、調理や仕入れを担う事業者の役割を分ける方法を示しました。また、乳製品と肉料理で食器や作業を区別し、終了後に余ったものと不足したものを記録して、次の団体の仕入れ計画に反映させていました。

この報告が示すこと

著者らが示したのは、人数だけで食材を見積もるのではなく、参加者の特徴や食べる料理の割合を踏まえ、実際の消費記録で基準量を調整していく運営方法です。宗教上の要件を誰が決め、誰が確認するかを事前に明確にすることも、その方法の一部と位置づけています。

ただし、これは比較条件を設けた試験ではなく、事業者の実務記録に基づく報告です。詳しい消費量は1種類の団体による1回の旅行から得られており、著者らは、各団体に合わせて修正するための出発点として扱うよう求めています。また、記載された宗教上の運用は各団体のラビとの取り決めに基づくもので、すべての共同体に共通する規則を示したものではありません。

原著論文の著者・所属:SEBIR(PROGRESS-CONSULTING EESTI OÜ)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):SEBIR. Kosher catering for groups in non-kosher venues: a practitioner method for planning menus, quantities and kitchen work (Poland and Central Europe, 2023-2026). Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-11-07. DOI: 10.5281/zenodo.24044303. 原著ライセンス:CC BY.