この研究は、韓国の研究機関の研究論文です。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

おにぎりや海苔巻きに欠かせない海藻「ノリ」。韓国でも日常的に食べられている食材ですが、この身近な食品が長期的な体型の変化と関係している可能性を示す研究が報告されました。今回紹介するのは、韓国の成人を対象に、ノリの摂取量と「腹部肥満」の発症リスクとの関連を18年間という長期間にわたって調べた前向きコホート研究です。

腹部肥満、いわゆる内臓脂肪の蓄積は、2型糖尿病や心血管疾患などの生活習慣病のリスク要因のひとつとされています。ノリには食物繊維や、体に何らかの作用をもたらす可能性のある成分(生理活性物質)が含まれており、こうした成分が腹部への脂肪蓄積に関わっているのではないか、という視点からこの研究は行われました。

研究でわかったこと

研究チームは、韓国のゲノム疫学研究(Korean Genome and Epidemiology Study)に参加した40〜69歳の成人5,457人のデータを分析しました。ノリの摂取量は、研究開始時点で103項目からなる食品摂取頻度調査票を用いて評価されています。腹部肥満は、ウエスト周囲径が男性で90cm以上、女性で85cm以上の場合と定義されました。

18年間の追跡期間中に、男性1,202人(39.4%)、女性1,117人(46.4%)が新たに腹部肥満を発症しました。統計解析の結果、ノリの摂取量が多いほど、腹部肥満の発症リスクが低い傾向が男女ともに見られたと報告されています。具体的には、ノリの摂取量が最も少ないグループと比べて、最も多いグループでは、男性で28%、女性で33%リスクが低いという結果でした(男性:ハザード比0.72、95%信頼区間0.58〜0.89、傾向性のp値=0.0099/女性:ハザード比0.67、95%信頼区間0.54〜0.84、傾向性のp値=0.0005)。この関連は、食事全体の質を考慮に入れた調整を行った後でも有意なまま保たれたとされています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、大規模な集団を長期間追跡した観察研究であり、ノリの摂取量と腹部肥満の発症リスクとの間に統計的な関連が見られたことを示すものです。ただし、これは「ノリを食べれば腹部肥満を予防できる」ことを証明したものではなく、あくまで一つの研究による関連の報告である点に注意が必要です。論文の著者らも、この知見を確認するためにはさらなる前向き研究や介入研究が必要だと述べています。

まとめ

今回の研究では、韓国人成人を対象とした18年間の追跡調査において、ノリの摂取量が多い人ほど腹部肥満を新たに発症するリスクが低い傾向が示唆されました。この関連は男女いずれでも認められ、食事の質を考慮しても変わらなかったとのことです。今後、さらなる研究の積み重ねによってこの関係がどこまで確かなものか、明らかになっていくことが期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):韓国成人における食事性ノリ摂取と腹部肥満発症リスク:18年間の前向きコホート研究(ニュートリエンツ・2026年08月)

著者:Nayeon Do(Department of Nutritional Science and Food Management, Ewha Womans University, Seoul 03760, Republic of Korea)、Minji Kim(Department of Nutritional Science and Food Management, Ewha Womans University, Seoul 03760, Republic of Korea)、Sein Kim(Fisheries Policy Research Department, Korea Maritime Institute, Busan 49111, Republic of Korea)、Deukhoon Peter Han(Glocal Strategy Research Department, Korea Maritime Institute, Busan 49111, Republic of Korea)、Won Jang(Department of Food Science and Nutrition, Dongseo University, Busan 47011, Republic of Korea)、Yangha Kim(Department of Nutritional Science and Food Management, Ewha Womans University, Seoul 03760, Republic of Korea)