この研究は、イギリスの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food Frontiers

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

エンドウ豆から取り出したたんぱく質(エンドウ豆たんぱく質分離物)は、植物性食品の原料として利用されています。ただし、水に溶けにくい、ゲルを作る力が弱い、好ましくない風味があるといった課題が、さらに広く使われるうえで妨げになってきました。

研究チームは、この課題に取り組むため、植物性たんぱく質を細かな粒子にする新しい3段階の加工法を報告しています。論文の抄録によると、この加工法では酸性度(pH)を一時的に変える処理、高い圧力で液体を細い隙間に通して粒子を砕く高圧ホモジナイズ、加熱処理を組み合わせています。

何を調べたか

著者らは、この加工で微粒子化したエンドウ豆たんぱく質を、加工していないものと比べました。比較したのは、粒子の大きさと見かけの密度、味の特徴、液体中での沈みにくさ、たんぱく質の構造、流動性や弾力性といった性質、加熱と冷却によるゲル化の様子です。

液体中での安定性は、たんぱく質を15%含む液に遠心力をかけ、粒子がどれだけ速く沈むかを測る装置で調べています。

主な結果

抄録によると、微粒子化により粒子の大きさの中央値は約61.8マイクロメートルから約6.2マイクロメートルへ、およそ10分の1になりました。見かけの粒子密度も1立方センチメートルあたり1.07グラムから0.57グラムへ低下しました。

液体中では、微粒子化したたんぱく質の沈む速さが元のたんぱく質より85.5%遅くなり、底にたまる沈殿の高さは99.6%低くなりました。研究チームは、この結果を、粒子が液中に分散した状態を保ちやすくなったことを示すものと位置づけています。

構造の分析では、たんぱく質の表面で水をはじく性質と、たんぱく質自体が発する蛍光の強さが低下しました。一方、硫黄を含む反応しやすい部分(遊離スルフヒドリル基)の量は、1ミリグラムあたり320.26ナノモルから1571.20ナノモルへ大きく増えました。著者らはこれを、たんぱく質の折りたたまれた構造がほどけ、水をはじく部分が内側に収まり、硫黄を含む部分が表に出た結果と解釈しています。

弾力の強さを示す値(貯蔵弾性率)と、液のとろみの度合いを示す値は、微粒子化したたんぱく質のほうがおよそ10倍高くなりました。揺らすような変形を加えたときにも、構造を保つ性質が優れていました。加熱してから冷やすゲル化の実験では、微粒子化したたんぱく質のほうが、より密で機械的に強く、弾力のあるゲルを形成しました。

味については、微粒子化によって味の特徴が変わり、渋みや苦みといった好ましくない味にも目立った変化が見られたと報告されています。

研究が示すこと

この研究は、pHの変更、高圧での粉砕、加熱を組み合わせてエンドウ豆たんぱく質を微粒子化すると、粒子の大きさや構造が大きく変わることを報告しています。あわせて、液中での安定性やゲルを作る力が元のたんぱく質より高まりました。研究チームは、微粒子化をエンドウ豆たんぱく質の性質を引き出す有効な方法と結論づけ、植物性食品へ幅広く活用できる可能性を示しています。

著者:Bandita Bagchi Banerjee(Natural Resources Institute Faculty of Engineering & Science University of Greenwich Chatham Maritime Kent UK)、Osama M. Maklad(Bezos Centre for Sustainable Protein University of Greenwich Chatham Maritime Kent UK)、Parag Acharya(Natural Resources Institute Faculty of Engineering & Science University of Greenwich Chatham Maritime Kent UK)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bandita Bagchi Banerjee, Osama M. Maklad, Parag Acharya. Novel Microparticulation of Pea Protein: Structural Transformation, Enhanced Gelation, Dispersion Stability, and Off‐Taste Masking. Food Frontiers 2026-10-09. DOI: 10.1002/fft2.70380. 原著ライセンス:CC BY.