この研究は、ドイツの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Discover Agriculture
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を目的とした研究か
持続可能な作物管理への関心が高まるなか、「タンパク質加水分解物(PH)」と呼ばれる資材が注目されています。これは植物や微生物に由来するタンパク質を分解して得られる材料で、作物の生育を後押しする「バイオスティミュラント(生物刺激剤)」の一種として扱われます。
著者らによれば、トマトでの葉面散布の効果はこれまで2.5 mL/L以上の濃度、あるいは葉面散布と土壌灌注を組み合わせた処理で報告されてきました。一方、より低い濃度の葉面散布だけで意味のある農業的な反応が得られるかどうか、とくにマメ科植物については証拠が限られているといいます。この研究は、その空白を埋めることを目的としています。
どのように調べたか
研究チームは、植物由来と微生物由来の2種類の新しいPH製剤(AM2025とMP2025)を用意しました。これらを0.05%と0.1%(v/v、体積比。0.5 mL/Lと1.0 mL/Lに相当)の濃度で、葉面散布として2回だけ施用しています。
対象としたのはインゲンマメ(Phaseolus vulgaris L.)とトマト(Solanum lycopersicum L.)の2種です。温室内の管理された条件下で、茎葉の生育、光合成、そして水利用効率(植物が使った水の量あたりにどれだけ同化できたかを示す指標)を評価しました。
報告された主な結果
トマトでは、葉面積、地上部のバイオマス、葉の葉緑素含量(SPAD値と呼ばれる測定値)、純光合成速度、水利用効率など、形態・バイオマス・生理の複数の形質がPH処理によって有意に影響を受けたと報告されています。また、製剤の種類と施用濃度のあいだに強い交互作用がみられ、効果はどの製剤をどの濃度で使うかという組み合わせ次第で変わることが示されました。著者らは、こうした反応が、文献で一般的に報告されている濃度より低い濃度での、わずか2回の葉面散布で得られた点を特筆しています。
一方インゲンマメでは、反応はより限定的で一貫性に乏しく、統計的に有意な効果は少なかったとされています。ただし地上部乾物重、葉面積、内在的水利用効率など一部の項目では、処理に関連した増加がみられました。
この報告が示すこと
著者らは、PHへの反応が植物の種によって異なること、そして製剤と用量の組み合わせが重要であることを、この結果が示していると述べています。あわせて、これらの資材がごく低い施用量でもかなりの生物学的活性を示すことを示唆するとしています。
同時に、より幅広い植物種、さまざまな施用方法、そして温室ではなく圃場の条件でこれらの効果を確かめるには、さらなる研究が必要だと著者ら自身が述べています。今回の報告は、管理された温室条件での2種の植物を対象とした知見という位置づけです。
著者:Fereshteh Bayat(University of Bonn, Institute of Crop Science and Resource Conservation (INRES), Bonn, Germany)、Thuy Huu Nguyen(University of Bonn, Institute of Crop Science and Resource Conservation (INRES), Bonn, Germany)、Thomas Gaiser(University of Bonn, Institute of Crop Science and Resource Conservation (INRES), Bonn, Germany)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fereshteh Bayat, Thuy Huu Nguyen, Thomas Gaiser. Unraveling effects of foliar protein hydrolysates on growth, physiology and water-use efficiency of greenhouse tomato and common bean. Discover Agriculture 2026-09-16. DOI: 10.1007/s44279-026-00771-5. 原著ライセンス:CC BY.