著者の所属・活動拠点の国は、ポーランドです。

掲載誌:Scientific Reports

ライセンス: CC BY-NC-ND 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

子どもの食習慣は、好き嫌いや家庭の食卓の様子だけでなく、体格や日々の活動量、栄養についての知識といった複数の要因が絡み合って形づくられていると考えられています。では実際に、どんな要因がどの食べ方の傾向と結びついているのでしょうか。ポーランドで10〜12歳の児童7,763人(男児49.2%、女児50.8%)を対象に行われた横断研究が、この問いに大規模データで迫っています。

研究チームは、検証済みの質問票を用いて子どもたちの栄養知識・食習慣・身体活動レベルを調べるとともに、体重・身長・腹囲を計測し、BMI(体格指数)、WHtR(腹囲を身長で割った指標)、RFMp、TMIといった複数の身体計測指標を算出しました。そのうえで主成分分析という統計手法(バリマックス回転、MSA=0.796)を使い、子どもたちの食べ方の傾向を「塩味・甘味型」「植物性・乳製品型」「タンパク質型」という3つのパターンに整理しました。さらにロジスティック回帰分析によって、どのような特徴を持つ子どもが、それぞれのパターンへの当てはまりが高い(上位三分位に入る)傾向にあるかを検討しています。

3つの食事パターンと、それぞれに関わる要因

分析の結果、パターンごとに異なる傾向が見えてきました。「塩味・甘味型」パターンについては、RFMp(体脂肪の指標)で過体重とされた児童や身体活動量が多い児童では、このパターンへの適合度が低い一方、BMIで低体重とされた児童や栄養知識が低い児童では適合度が高い傾向が示されました。

「植物性・乳製品型」パターンでは、女児であること、WHtR(腹部肥満の指標)が高いこと、身体活動量が多いことが、上位三分位に該当しやすい要因として挙げられました。反対に栄養知識が低い児童では、このパターンへの適合度は低くなる傾向が見られています。

「タンパク質型」パターンについては、女児では適合度が低い一方、低体重の児童や身体活動量が多い児童では適合度が高いという結果が示されました。これらの結果から研究チームは、栄養に関する知識の量と身体活動レベルが、子どもの食事パターンを左右する主要な、かつ働きかけによって変えられる可能性のある要因だと結論づけています。

この研究を読むうえで押さえておきたいこと

この研究は、ポーランドの10〜12歳という特定の年齢層・地域の児童を対象にした横断研究であり、ある時点での関連を捉えたものです。示された関連は、体格や活動量、知識と食事パターンとの結びつきを示すものであって、どちらが原因でどちらが結果かを断定するものではない点に注意が必要です。また、対象がポーランドの児童であるため、異なる食文化や生活環境を持つ他の地域の子どもたちにそのまま当てはまるとは限りません。一つの研究として得られた知見であり、これだけで子どもの食習慣の全体像が確定したわけではないことを踏まえて読むとよいでしょう。

まとめ

今回の研究は、小学生の食事パターンが体格・身体活動・栄養知識といった複数の要因と関連していることを、大規模なデータをもとに示したものです。特に栄養知識と身体活動は、教育や環境づくりを通じて働きかけやすい要因として位置づけられており、今後の子どもの食生活支援を考えるうえでの一つの手がかりになると考えられます。

原著論文の著者・所属:Małgorzata Ewa Drywień(Department of Human Nutrition, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences SGGW, Warsaw, Poland)、Ewa Czarniecka‐Skubina(Department of Food Gastronomy and Food Hygiene, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences SGGW, Nowoursynowska st. 159c, Warsaw, 02-787, Poland)、Jadwiga Hamułka(Department of Human Nutrition, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences SGGW, Warsaw, Poland)、Jerzy Gębski(Department of Food Market and Consumer Research, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences SGGW, Warsaw, Poland)、Olga Januszko(Department of Human Nutrition, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences SGGW, Warsaw, Poland)、Joanna Sadowska(Department of Applied Microbiology and Human Nutrition Physiology, West Pomeranian University of Technology in Szczecin, Szczecin, Poland)、Krystyna Gutkowska(Department of Food Market and Consumer Research, Institute of Human Nutrition Sciences, Warsaw University of Life Sciences SGGW, Warsaw, Poland)

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Małgorzata Ewa Drywień, Ewa Czarniecka‐Skubina, Jadwiga Hamułka, et al. Probability of predicting dietary pattern adherence among primary schoolchildren based on socio-demographic data, anthropometric parameters, physical activity levels, and nutritional knowledge. サイエンティフィック・リポーツ (2026). DOI: 10.1038/s41598-026-70753-6. 原著ライセンス: cc-by-nc-nd.