著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:PLOS Water

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

世界各地の先住民の人々は、食べ物や水、暮らしの糧の多くを身近な自然環境に頼っており、こうした資源を安定して得られない「資源の不安定さ」が大きな課題となっています。研究チームは、ペルーのアマゾン地域に暮らす先住民アワフン族を対象に、水を十分かつ安全に得られない状態(水の不安定さ)と、食べ物を十分に得られない状態(食の不安定さ)、そして食事にどれだけ多くの種類の食品が含まれているか(食事の多様性)との関係を調べました。

何を調べたか

研究では、アワフン族の成人212人から一時点で集めたデータを分析しました。水の不安定さは、さまざまな経験をまとめた総合的な得点として測るとともに、その得点を構成する個々の項目、たとえば水くみに行けなかった経験や、水を沸かして使っているかどうかといった点にも注目しました。分析には回帰モデルと呼ばれる統計手法を用い、ほかの要因の影響を考慮したうえで、水の不安定さと食に関する指標との結びつきを調べています。

主な結果

論文によると、アワフン族の人々の間では、食の不安定さと水の不安定さがともに広くみられました。水の不安定さの総合得点が高い人ほど、食の不安定さの得点も高いという統計的に有意な関連が報告されています。一方で、総合得点と食事の多様性との間には有意な関連はみられませんでした。

著者らが重要な点として挙げているのは、総合得点そのものよりも、それを構成する個々の経験のほうが、食の不安定さや食事の多様性とより強く結びついていたことです。具体的には、「距離が遠いため水をくみに行けなかった」「病気や体の弱さのため水をくみに行けなかった」「水を沸かしていない」といった項目が、食の不安定さの得点の高さと関連していました。また、「飲み水がない状態が長く続いた」経験は、食事の多様性の得点の低さと関連していました。

なお、この研究は一時点のデータに基づいて関連を調べたものであり、水の問題が食の問題を引き起こしたという因果関係を示したものではありません。

研究が示すこと

研究チームは、水くみの障壁、水の処理の仕方、長期間水が得られない状況といった、水の不安定さを形づくる具体的な生活上の経験が、総合得点よりも食の問題と強く結びついていたことから、水の不安定さの個々の側面に目を向けることが、弱い立場にある人々の資源の不安定さを見つけ、見守り、対処する取り組みに役立つ可能性があると述べています。著者らはまた、この知見が健康状態の監視や、国連の持続可能な開発目標のうち「安全な水とトイレ」と「飢餓をゼロに」の実現を目指す取り組みにかかわるものだと位置づけています。

原著論文の著者・所属:Paula Skye Tallman(Loyola University Chicago; The Field Museum of Natural History, Keller Science Action Center)、Shalean M. Collins(Celia Scott Weatherhead School of Public Health and Tropical Medicine, Tulane University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Paula Skye Tallman, Shalean M. Collins. Water insecurity, food insecurity, and dietary diversity among Awajún adults living in the Peruvian Amazon. PLOS Water 2026-09-11. DOI: 10.1371/journal.pwat.0000556. 原著ライセンス:CC BY.