著者の所属・活動拠点の国は、スウェーデンです。

掲載誌:International Journal of Molecular Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

「週2日だけ食事量を減らし、残り5日は普段どおりに食べる」というスタイルのダイエット法は「5:2ダイエット」と呼ばれ、体重管理の方法として関心を持たれています。ただ、体重が減ること自体はよく知られていても、血圧やコレステロール、炎症に関わる血液中の物質など、心血管疾患のリスクに関わる指標にどう影響するのかは、まだ十分に整理されていません。特に2型糖尿病がある人とない人で効果に違いがあるのかどうかも、興味深い論点です。今回紹介する論文は、この点を6ヶ月間の介入試験で調べたものです。

研究でわかったこと

この研究は、過体重または肥満の成人97人(2型糖尿病がある人35人、糖尿病のない対照群62人)を対象にした非ランダム化比較試験です。参加者は6ヶ月間、週2日は断食(女性500kcal、男性600kcalに食事量を抑える)、残り5日は普段の食事をとる「5:2ダイエット」を実施し、93人が6ヶ月の介入を完了、その後82人(糖尿病群31人、対照群51人)が12ヶ月時点の追跡調査にも参加しました。

6ヶ月後、両群ともに体重が減少しました(糖尿病群で平均6.3%減、対照群で平均5.0%減)。加えて、腹囲、血圧、HDLコレステロール、LDLコレステロール、そして脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種であるアディポネクチンの値についても、両群で有意な改善が報告されています。さらに、糖尿病群では肝機能の指標であるALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)と、炎症の指標であるhsCRP(高感度CRP)が対照群と比べて有意に低下したとされています。一方、対照群では中性脂肪と、食欲やエネルギー代謝に関わるホルモンであるレプチンの値が有意に減少したと報告されています。

12ヶ月時点の追跡調査では、両群でHDLコレステロールとアディポネクチンの改善が持続していたとされます。また、糖尿病群ではhsCRPとレプチンの有意な低下が、対照群ではALTの有意な低下が確認されたと報告されています。論文では、2型糖尿病がある参加者の方が、対照群よりもやや大きな代謝面の変化がみられたと総括されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、ランダム化(参加者をくじ引きのようにランダムに割り振る方法)を用いていない比較試験である点に注意が必要です。つまり、糖尿病の有無で「もともと」参加者の背景に違いがあった可能性を完全には排除できません。また、参加者数は約100人規模であり、12ヶ月時点では脱落もみられます。今回の結果はあくまで一つの研究で得られたものであり、5:2ダイエットが心血管疾患そのものを予防する、あるいは糖尿病を改善するといった断定的な結論を示すものではない点をふまえて読む必要があります。

まとめ

この研究では、5:2ダイエットを6ヶ月間続けた過体重・肥満の参加者において、体重減少とともに血圧やコレステロール、アディポネクチンなど心血管疾患のリスクに関わる複数の指標に改善がみられたと報告されています。2型糖尿病がある人ではALTやhsCRPの改善も確認され、対照群よりもやや大きな変化がみられたことが示唆されています。一部の改善は12ヶ月後も持続していたとされますが、今回の結果は一つの試験によるものであり、今後さらなる研究による検証が期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):5:2ダイエットは2型糖尿病の有無にかかわらず心血管疾患のリスク因子を軽減する—非ランダム化比較試験(インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・サイエンシズ・2026年07月)

原著論文の著者・所属:Anton Hellberg(Department of Women’s and Children’s Health, Karolinska Institutet, 171 77 Stockholm, Sweden)、Michaela L. Sundqvist(Department of Physiology, Nutrition and Biomechanics, The Swedish School of Sport and Health Sciences, 114 33 Stockholm, Sweden)、Angelica Lindén Hirschberg(Department of Gynecology and Reproductive Medicine, Karolinska University Hospital, 171 76 Stockholm, Sweden)、Sergiu‐Bogdan Catrina(Centre for Diabetes, Academic Specialist Centre, 113 65 Stockholm, Sweden)、Ingeborg Eriksson(Department of Molecular Medicine and Surgery, Karolinska Institutet, 171 76 Stockholm, Sweden)、Neda Rajamand Ekberg(Centre for Diabetes, Academic Specialist Centre, 113 65 Stockholm, Sweden)、Kerstin Brismar(Centre for Diabetes, Academic Specialist Centre, 113 65 Stockholm, Sweden)