著者の所属・活動拠点の国は、イギリス、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、フィリピン、ラオス、マレーシア、スウェーデン、アラブ首長国連邦、ヨルダン、ベトナムです。

掲載誌:Food Control

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

卵を家庭で洗うことは、一部の地域では一般に勧められていません。卵の殻の表面には「クチクラ」と呼ばれる天然の保護膜があり、洗うとこれが傷つき、細菌が殻の内側へ入り込むリスクが高まるおそれがあるためです。

一方で、東南アジアの消費者が家庭で卵をどのように洗い、扱っているかはほとんど分かっていませんでした。著者らは、この地域の消費者の卵の洗い方と取り扱いの実態を明らかにすることを目的に研究を行いました。

何を調べたか

研究チームは、数値で傾向をつかむ調査と、人々の考えや行動を詳しく見る調査を組み合わせる「混合研究法」を用いました。まず、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムの消費者を対象に、ある一時点での状況を尋ねるオンライン調査を実施しました。

続いて、マレーシア、インドネシア、タイで、24の家庭の台所での調理の様子を観察し、あらかじめ大まかな質問を決めたうえで自由に話してもらう形式の聞き取り調査も行いました。調査の回答は統計的な手法で分析され、聞き取りの内容は語られたテーマごとに整理して分析されました。

主な結果

抄録によると、参加者の大多数が調理前に卵を洗うと答えました。卵を洗う人の半数以上は、見た目がきれいな卵でも洗うと回答しています。洗い方としては水道水ですすぐのが一般的で、その主な理由は汚れ、ふん、ぬめり、羽毛を落とすことでした。

オンライン調査では、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピンの回答者や、卵がサルモネラ菌に汚染されているリスクを高く感じている回答者ほど、調査で示されたメッセージに従うことに自信を持っていたと報告されています。抄録では、このメッセージの具体的な内容は示されていません。

台所の観察では、卵を扱ったり割ったりした後に適切に手を洗う場面はまれで、手や器具を介して汚染が他の食品などへ広がる可能性のある場面が頻繁に見られました。

聞き取りからは、卵を洗う行為が、清潔さや安全についての考え、習慣、そして購入前に卵がどう扱われてきたか分からないという不安と密接に結びついていることが分かりました。洗う代わりに拭く方法を挙げる参加者もいました。また、公式ではない情報源が卵を洗うことへの考え方に影響しているとみられることも示されましたが、それが具体的にどのような情報源なのかは抄録には示されていません。

研究が示すこと

この研究は、東南アジアの家庭では調理前に卵を洗うことが広く行われており、その背景に清潔さや安全についての考えや習慣があることを示しています。

著者らは実践的な指針として、目に見えて汚れた卵だけを洗うこと、洗った卵はすぐに調理すること、卵を扱ったり割ったりした後は石けんと水で手を洗うこと、そして調理中に汚染を他へ広げないことを重視すべきだとまとめています。

原著論文の著者・所属:Jan Mei Soon-Sinclair(School of Health, Social Work and Sport, University of Central Lancashire, Preston PR1 2HE UK)、Iwan Vanany(Department of Industrial and Systems Engineering, Institut Teknologi Sepuluh Nopember, Surabaya 60111, Indonesia)、Pornthipa Ongkunaruk(Department of Industrial Engineering, Faculty of Engineering, Kasetsart University, Bangkok 10900 Thailand)、Theingi Myint(Department of Agricultural Economics, Yezin Agricultural University, Nay Pyi Taw, Mayanmar)、Pisidh Voe(National Meanchey University, NR5 Sisophon, Cambodia)、Chanthy Huot(Faculty of Agronomy, Royal University of Agriculture, Phnom Penh, Cambodia)、Mark Raguindin Limon(Technical-Vocational and Livelihood Education Department, College of Teacher Education, Mariano Marcos State University, Laoag City, Ilocos Norte, 2900, Philippines)、Sayvisene Boulom(Faculty of Agriculture, National University of Laos, Lao PDR)、Fue Yang(Faculty of Agriculture, National University of Laos, Lao PDR)、Ikarastika Rahayu Abdul Wahab(Faculty of Agro-Based Industry, Universiti Malaysia Kelantan, 17600 Jeli, Kelantan, Malaysia)、Cong Duan Dao(The Unit for Multilingualism, Uppsala Council, Sweden)、Tareq Osaili(Department of Clinical Nutrition and Dietetics, College of Health Sciences, University of Sharjah, Sharjah P.O. Box 27272, United Arab Emirates; Department of Nutrition and Food Technology, Faculty of Agriculture, Jordan University of Science and Technology, P.O. Box 3030, Irbid 22110, Jordan; Research Institute of Medical & Health Sciences, University of Sharjah, Sharjah P.O. Box 27272, United Arab Emirates)、Thanh Mai Ha(Department of Economics, Swedish University of Agricultural Sciences, Box 7013 750 07 Uppsala, Sweden; Faculty of Economics and Management, Vietnam National University of Agriculture, Gia Lam district, Hanoi, Vietnam)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jan Mei Soon-Sinclair, Iwan Vanany, Pornthipa Ongkunaruk, et al. Consumer egg washing and handling practices in Southeast Asia: a mixed-method study. Food Control 2026-08-25. DOI: 10.1016/j.foodcont.2026.112578. 原著ライセンス:CC BY.