著者の所属・活動拠点の国は、中国、オーストラリアです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肉への依存を減らす選択肢として、さまざまな代替たんぱく質の開発が進んでいます。ただし、新しい食品が広まるには、消費者がそれを理解し、魅力を感じ、日常の食事で使えると考えることが必要です。著者らが取り上げたのは、こうした新しい食材の一つであるマイコプロテインです。

論文でいうマイコプロテインとは、選ばれた糸状菌(細い糸のような構造をつくるカビの仲間)を培養して得た菌体を、食品用に加工したものです。普通の食用キノコからたんぱく質を取り出したものとは別物ですが、消費者が両者を結びつけて考える可能性もあります。中国では2025年に、Fusarium venenatumという菌に由来するマイコプロテインが、原料ごとの条件付きで新食品原料として承認されました。

研究チームは、この新しい原料について、消費者がすでに何を知り、何を期待し、何を知りたいと考えているかを把握することを目指しました。具体的な目的は三つです。第一に、マイコプロテインを聞いたことがあるか、どの程度知っていると感じているか、基本的な事実を正しく認識しているか、最初にどんな印象を持っているかを記述すること。第二に、共通の説明を読んだ後の評価と「試したい」「購入候補にしたい」という意向を調べ、前向きな人たちの中にどのような知識や調理への自信の違いがあるかを明らかにすること。第三に、味などへの期待、調理への自信、感情、事前の知識が、こうした意向とどう関連しているかを調べることです。

調査の方法

研究チームは2026年9月、中国本土に住む18歳以上の成人を対象に、中国語のオンライン調査を1回実施しました。分析の対象になったのは1197人です。回答者は比較的若い層が中心で、女性、大卒以上、都市部の居住者が多数を占めていました。無作為に選ばれた標本ではないため、中国の消費者全体をそのまま代表するものではありません。

質問はあらかじめ決めた順序で進みました。回答者はまず、マイコプロテイン(中国語で「真菌蛋白」)という言葉を聞いたことがあるか、自分はどの程度知っていると思うか、思い浮かぶことは何かを答え、最初の全体的な印象と、製造方法に関する二つの事実問題に回答しました。その後、全員が同じ説明文を読みました。説明文には、選ばれた糸状菌を管理された発酵条件で培養して得た菌体を加工した原料であること、パティや団子、具材などに使える可能性があること、中国では特定のマイコプロテイン原料が条件付きで新食品原料として承認されていることが書かれていました。

説明文を読んだ後、回答者は食品の全体的な印象、試してみたいか、購入の候補に入れたいかを評価しました。あわせて、味が自分の好みに合いそうか、栄養価、自然さ、安全面のリスク、環境への悪影響についての予想を尋ねました。この五つの属性項目には、それぞれ「判断できない」という選択肢が用意されていました。さらに、その食品で料理をつくる自信と、試すことへの好奇心・心配・嫌悪感も尋ねましたが、これらの項目には「判断できない」の選択肢はありませんでした。評価の対象は、特定の銘柄や価格が示されていない一般的な食品の概念で、実際に試食したわけではありません。結果はすべて質問への回答に基づいています。

主な結果

名前は知られていても、詳しく知っていると感じている人は少数でした。マイコプロテインを聞いたことがある人は60.2%でしたが、自分はかなり、あるいはとても詳しいと答えた人は11.6%にとどまりました。ほとんど、あるいはまったく知らないと答えた人は60.7%でした。一方、製造に関する二つの事実を両方とも正しく認識した人は63.9%で、食用キノコからの抽出が製造方法だと選んだ人は14.8%でした。聞いたことがある人の92.2%が、情報源としてショート動画やSNSを挙げていました。

説明文を読んだ後は、試してみたいと答えた人が86.7%、購入の候補に入れたいと答えた人が76.0%と、前向きな回答が多くを占めました。最初と後の両方で印象を評価した1069人では、5段階の平均値が3.70から4.04へ上がり、印象が良くなった人(380人)は悪くなった人(62人)を大きく上回りました。また、最初は印象を評価できなかった125人のうち、ほとんどが後の質問では評価を示しました。著者らは、この結果を、調査の流れの中で評価がどう変わったかを示す補足的な証拠として位置づけています。

前向きな人たちの中身は一様ではありませんでした。試してみたいと答えた人の56.5%は、事前の知識がほとんど、あるいはまったくないと答えた人でした。また、試してみたい人のうち、料理をつくる自信が低い人は22.2%、中程度の人は29.1%で、自信が中程度以下の人が約半数を占めていました。全体として印象が良い人の中にも、味が好みに合うかは判断できないと答えた人がいました。五つの属性項目のうち「判断できない」という回答が最も多かったのは味でした(12.3%)。

さまざまな要因を同時に考慮して関連を分析したところ、味が好みに合いそうだという期待と好奇心は、「試したい」「購入候補にしたい」の両方と正の関連を示しました。購入候補にしたいという意向については、栄養への期待と調理への自信も正の関連を示し、心配は負の関連を示しました。これらは関連であり、因果関係を示すものではありません。判断の際に重視する点としては、安全性、味、栄養が上位を占めました。知りたい情報としては、成分と栄養、安全性の評価と適した対象者、味と食感が多く挙げられ、環境への影響に関する情報を選んだ人は7.3%と少数でした。

研究が示すこと

著者らは、マイコプロテイン食品を受け入れようとする人たちの中に、知識の程度や調理への自信が異なる人々が含まれていることを示しました。「試したい人が多い」という全体の数字だけでは、こうした違いは見えてきません。自分では詳しくないと感じていても基本的な事実は理解している人もいれば、興味はあっても味を想像できない人や、どう料理すればよいか自信のない人もいます。

このため論文は、製品の伝え方や試験を計画する際に、受容と関連する要因だけでなく、消費者がこの原料をどう理解しているか、そして実際にどのように食べることを想定しているかもあわせて考える必要があると結論づけています。

原著論文の著者・所属:Zining Wang(College of Economics and Management, Hefei Normal University, Hefei 230601, China)、Guobin Zhao(Department of Tourism and Marketing, Griffith University, Southport, QLD 4215, Australia)、Kun Zhang(Department of Tourism and Marketing, Griffith University, Southport, QLD 4215, Australia)、Yanzhe Yuan(Department of Tourism and Marketing, Griffith University, Southport, QLD 4215, Australia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zining Wang, Guobin Zhao, Kun Zhang, et al. Consumer Awareness, Perceptions and Acceptance of Mycoprotein Foods: An Exploratory Survey in China. Foods 2026-10-22. DOI: 10.3390/foods15213783. 原著ライセンス:CC BY.