「このサプリメントで健康問題が解消される」——そんな印象を与える広告を目にしたことがある人は多いのではないでしょうか。健康食品やサプリメントの市場は世界的に拡大を続けていますが、その広告表現がしばしば誇張されたり、医薬品のような治療効果を暗示したりすることが指摘されています。今回紹介する研究は、消費者がサプリメント広告をどのように受け止め、どのような期待を抱いているのか、そしてサプリメントそのものについてどれだけ理解しているのかを調べたものです。
ラジオ広告を使った意識調査
研究チームは、ポーランドのラジオ局で実際に放送されたサプリメント広告4件の内容を成人397名に提示し、広告への印象やサプリメントに関する知識、使用意向などをアンケートで尋ねました。
知識不足と広告への誤解
結果として、回答者の67%以上がサプリメントに関する知識が「低い」または「ほとんどない」と判定されました。サプリメントを「食品」だと正しく認識していたのはわずか4.8%にとどまり、40.3%は「市販薬(OTC医薬品)」だと誤って認識していたことが報告されています。
また、45.7%の回答者は、広告の内容から「製品の効果が科学的に評価・証明されている」という印象を受けたと答えました。一方で74.1%は、「もし広告されているサプリメントに実証された効果がないのであれば、そのような広告は不当で誤解を招くものだ」と考えていることも示されています。つまり、多くの消費者が広告を見て効果を信じる一方で、その広告のあり方自体には批判的な目も持っている、という一見矛盾するような結果が浮かび上がりました。
知識があっても行動は変わりにくい?
広告された製品への期待の程度については、最も多かった41.1%の回答者が「中程度の期待」を示したとされています。また、サプリメントに関する知識が豊富な人ほど、広告に対して懐疑的な姿勢を示す割合が高くなる傾向も確認されました。
ところが興味深いことに、知識があり懐疑的な姿勢を持つ人が多い一方で、60.6%の回答者は「広告で言及されている健康問題を自分が抱えていたら、その広告がきっかけで製品を使い始める可能性がある」と回答しています。知っていることと、実際の行動が結びつくとは限らない、という点が示唆される結果です。
さらに統計的な分析では、サプリメントの使用意向を高める要因として、製品の効果への期待が高いこと(オッズ比11.1)、サプリメントに関する知識がほとんどないこと(オッズ比2.9)、効果が科学的研究で証明されていると信じていること(オッズ比1.9)、そして農村部に居住していること(オッズ比1.9)が挙げられています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、ポーランドのラジオ広告4件を素材に、397名を対象として行われた調査であり、一つの研究として今回の結果が得られたものです。対象とした広告や地域、調査方法によって結果は変わりうるため、この結果がそのままあらゆる国や広告媒体に当てはまるとは限らない点には留意が必要です。また、この研究はあくまで消費者の意識や期待、知識を調べたものであり、サプリメント自体の有効性や安全性を評価したものではありません。
まとめ
今回の調査では、サプリメント広告を見た消費者の多くが、その効果が科学的に証明されているかのような印象を持ちやすいこと、そしてサプリメントに関する知識が乏しいほど、また効果への期待が高いほど、使用意向が高まる傾向があることが示されました。著者らは、サプリメント市場が今後も拡大すると予測されるなかで、消費者がサプリメントを医薬品と混同しないよう、教育的な取り組みが必要だと結論づけています。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:サプリメント広告に対する消費者の信頼と態度(ニュートリエンツ・2026年08月)