この研究は、ポーランドの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

何を目的とした研究か

ビタミンDはカルシウムとリン酸の代謝の調節に関わり、多くの生理的プロセスにまたがる多面的な働き(プレイオトロピックな作用)をもつとされています。著者らは、ポーランドの軍人におけるビタミンDの充足状態を評価し、それがどのような要因と結びついているかを調べることを目的としました。

検討された要因は、サプリメントの摂取、ビタミンDの供給源となる特定の食品をどのくらいの頻度で食べているか、年齢や性別などの人口統計学的要因と体格に関わる要因、採血の季節、そしてGC遺伝子のrs2282679という一塩基多型(個人ごとに配列がわずかに異なる箇所)です。

どのように調べたか

対象は21〜65歳の兵士331人で、そのうち88.2%が男性でした。体内のビタミンDの状態を示す指標である血中25(OH)D濃度は、電気化学発光法という測定手法で調べられました。食品をどのくらいの頻度で食べているかは食物摂取頻度調査票(FFQ)で評価し、GC rs2282679の遺伝子型はTaqManプローブを用いたリアルタイムPCRで判定しています。

著者らは、25(OH)D濃度が30 ng/mL未満の場合を「至適とはいえない(suboptimal)ビタミンD状態」と定義しました。

報告された主な結果

25(OH)D濃度が30 ng/mL未満だった人は、対象者の50.2%でした。複数の要因を同時に考慮する多変量解析では、この至適でない状態と独立して関連する要因として、春に採血されたこと、サプリメントの摂取頻度が少ないこと、そしてGC rs2282679のGG遺伝子型の3つが示されました。一方で、年齢・性別・BMIは、この指標と独立した関連を示しませんでした。

解析された食品の多くについては、摂取頻度と25(OH)D濃度との間に統計的に意味のある関連はみられませんでした。また、25(OH)D濃度は副甲状腺ホルモン(PTH)およびホモシステインと負の相関を示し、無機リンとは弱い正の相関を示したと報告されています。分類木を用いた解析では、GG遺伝子型が25(OH)D濃度の最も低いサブグループを識別する指標となりました。なお、これらは同じ時点で測定された関連であり、因果関係を示すものとしては報告されていません。

この報告が意味すること

著者らは、調べた兵士のおよそ半数に至適とはいえないビタミンD状態がみられたと結論づけています。そして、ビタミンD状態が低くなりやすい人を見つけ出すうえで、定期的なサプリメント摂取、季節、そしてGC rs2282679多型が重要であることを、今回の結果は示したとしています。

身体的な要求の大きい職業集団において、体格や年齢といった分かりやすい指標よりも、摂取習慣・採血時期・遺伝的背景のほうが状態の違いと結びついていた、という点がこの報告の要点です。

著者:Agata Gaździńska(Laboratory of Dietetics and Obesity Treatment, Department of Psychophysiological Measurements and Human Factor Research, Military Institute of Aviation Medicine, Krasińskiego 54/56, 01-755 Warsaw, Poland)、MAGDALENA KRZYŻANOWSKA(Laboratory of Dietetics and Obesity Treatment, Department of Psychophysiological Measurements and Human Factor Research, Military Institute of Aviation Medicine, Krasińskiego 54/56, 01-755 Warsaw, Poland)、Sebastian Spaleniak(Department of Internal Diseases and Nephrodiabetology, Medical University of Lodz, Żeromskiego 113, 90-549 Lodz, Poland)、Paweł Jagielski(Department of Nutrition and Drug Research, Faculty of Health Science, Medical College, Jagiellonian University, Skawińska 8, 31-066 Cracow, Poland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Agata Gaździńska, MAGDALENA KRZYŻANOWSKA, Sebastian Spaleniak, et al. Vitamin D Status in Polish Military Personnel: Associations with Supplementation, Seasonality, and the GC rs2282679 Polymorphism. Nutrients 2026-09-17. DOI: 10.3390/nu18183041. 原著ライセンス:CC BY.