著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

魚や食品に関わる微生物への作用を調べる

研究チームは、クローブのつぼみ、ビターオレンジの花、オレンジの果皮から得られる精油について、化学成分と微生物の増殖を抑える作用を比較しました。魚の病原菌や食品に関わる微生物に対して、成分の異なる精油がどのような作用を示すかを、同じ実験条件で調べることが目的です。

対象は、魚から分離された菌、調理済み水産食品から分離された菌、比較の基準となる菌株など、細菌44株と酵母2株の計46株でした。研究チームは精油の成分を分析するとともに、それぞれの精油10マイクロリットルを染み込ませた紙の円盤を、微生物を広げた培地に置きました。培養後、円盤の周囲にできる微生物が増殖しない領域「阻止円」の直径を測り、作用を比較しました。試験はそれぞれ3回行われました。

クローブと花の精油が、より幅広い菌に作用

成分分析では、クローブ精油はオイゲノールが72.98%を占め、ビターオレンジの花の精油ではリナロールと酢酸リナリルが主成分でした。一方、オレンジ果皮の精油はD-リモネンが93.77%を占めると報告されています。

研究チームは、クローブとビターオレンジの花の精油が、オレンジ果皮の精油より幅広い微生物の増殖を抑えたと報告しました。例えば、クローブ精油はシェワネラ・バルチカの試験株に直径38ミリメートルの阻止円を形成しました。花の精油では、魚の病原菌であるビブリオ・アングイラルムなどの試験株で32ミリメートルでした。これらの直径には、紙の円盤自体の6ミリメートルも含まれます。

ただし、作用は菌の種類や菌株によって異なり、クローブや花の精油でも増殖を抑えなかった菌株がありました。オレンジ果皮の精油は多くの試験株に対して作用が弱いか、阻止円が認められませんでしたが、ナイアリア・ニールソニイの試験株では24ミリメートルの阻止円を形成しました。

精油の種類だけでなく、相手の微生物でも違い

酵母への作用にも差がありました。クローブ精油はサッカロミセス・セレビシエに30ミリメートルの阻止円を形成し、カンジダ・アルビカンスにも増殖を抑える作用を示しました。花の精油も両方の酵母に作用しましたが、オレンジ果皮の精油では、どちらにも阻止円は認められませんでした。

著者らは、クローブとビターオレンジの花の精油を、天然由来の抗菌物質の供給源となり得るものと位置づけています。今回の報告が示すのは培地上での増殖抑制であり、その作用は精油と対象の微生物の組み合わせによって大きく異なるということです。

原著論文の著者・所属:KAHRAMAN YILMAZ, Dilek(Department of Marine Biology, Faculty of Marine Sciences and Technology, Canakkale Onsekiz Mart University, 17020 Çanakkale, Türkiye)、YILMAZ, Sevdan(Department of Aquaculture, Faculty of Marine Sciences and Technology, Canakkale Onsekiz Mart University, 17020 Çanakkale, Türkiye)、KESBIÇ, Fevziye Işıl(Central Research Laboratory, Kastamonu University, 37200, Kastamonu, Türkiye)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):KAHRAMAN YILMAZ, Dilek, YILMAZ, Sevdan, KESBIÇ, Fevziye Işıl. Chemical composition and in vitro antimicrobial activity of clove bud, bitter orange blossom, and orange peel essential oils against fish- and food-associated microorganisms. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-08-11. DOI: 10.5281/zenodo.21875963. 原著ライセンス:CC BY.