著者の所属・活動拠点の国は、パキスタン、ウガンダです。

掲載誌:Health Science Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

胃食道逆流症(GERD)は、胃酸などが食道へ逆流し、胸やけや胃の内容物が上がってくる症状を起こす病気です。研究チームは、長時間の勉強、不規則な食事、睡眠不足、学業上のストレスなどを背景に、医学生の症状に着目しました。

パキスタンでは従来の研究が主に病院で行われていたため、研究チームは医学生を対象に、胃食道逆流症が疑われる人の割合と、生活習慣や自覚するストレスとの関連を調べました。

何を、どのように調べたか

研究チームは2024年10月から2025年3月にオンライン質問票調査を行い、パキスタンの医学生249人の回答を分析しました。大学や学生の交流グループを通じて参加者を募り、無作為には選んでいません。回答者の85.1%は女性でした。診断済みの消化器疾患や特定の慢性疾患がある人などは対象から除きました。

症状の評価には、胸やけ、逆流、それによる睡眠への影響、市販薬の使用などを尋ねる質問票「GERDQ」を用いました。合計点が8点以上の場合を、胃食道逆流症の疑いがあると分類しました。これは症状に基づく判定で、診察や内視鏡検査で確定した診断ではありません。

あわせて、夜中の間食、運動の種類、飲食や喫煙などの生活習慣と、過去1か月に感じたストレスを調べました。それぞれの項目と症状との関連に加え、複数の要因を同時に考慮した場合にも関連が残るかを分析しました。

主な報告結果

研究チームは、249人中51人、20.5%が胃食道逆流症の疑いに該当したと報告しました。また、少なくとも週1回の胸やけを訴えた人は35.3%、逆流を訴えた人は40.2%でした。

複数の要因を考慮した分析では、夜中の間食を習慣にしている人は、ときどき間食する人に比べ、胃食道逆流症が疑われるオッズが7.62倍でした。95%信頼区間は1.60~36.21と、推定には幅がありました。オッズは、該当する確率と該当しない確率の比であり、発症率そのものの倍率ではありません。

重い物を持ち上げる運動やジムでの運動を行う人は、速歩を行う人に比べ、胃食道逆流症が疑われるオッズが4.00倍でした。95%信頼区間は1.53~10.46でした。

ストレスの程度は、個別に比較した分析では胃食道逆流症の疑いと関連していましたが、ほかの要因を考慮した分析では関連が認められなくなりました。性別、体格指数(BMI)、学年についても、統計的に有意な関連は認められませんでした。

この報告が示すこと

著者らは、医学生の胃食道逆流症を考えるうえで、生活習慣やストレスにも目を向ける必要があると述べています。ただし、この調査は同じ時点で症状と生活習慣を尋ねたもので、間食や運動が症状の原因だったとは判断できず、症状が生活習慣に影響した可能性も残ります。

症状も生活習慣も自己申告であり、胃食道逆流症の確定診断は行っていません。また、オンラインで募った参加者に限られ、女性に大きく偏っているため、パキスタンの医学生全体へそのまま当てはめるには限界があります。この報告は、参加した医学生の症状と、それに関連する生活習慣の一端を示すものです。

原著論文の著者・所属:Easha Masood(Foundation University Medical College Islamabad Pakistan)、Sana Fatima(Rawalpindi Medical University Rawalpindi Pakistan)、Rumman Ashraf(Rawalpindi Medical University Rawalpindi Pakistan)、Muddassir Khalid(Nishtar Medical University Multan Pakistan)、Fatima Tul‐Zahra(Foundation University Medical College Islamabad Pakistan)、Mishaal Zarar(Foundation University Medical College Islamabad Pakistan)、Sumia Fatima(Rawalpindi Medical University Rawalpindi Pakistan)、Fred Segawa(Makerere University College of Health Sciences Kampala Central Region Uganda)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Easha Masood, Sana Fatima, Rumman Ashraf, et al. Prevalence and Determinants of Gastro‐Esophageal Reflux Disease Among Medical Students: A Cross‐Sectional Study From Pakistan. Health Science Reports 2026-10-31. DOI: 10.1002/hsr2.73459. 原著ライセンス:CC BY.