この研究は、アメリカの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
グミキャンディーは幅広い年齢層に親しまれ、栄養成分や機能性成分を届ける食品としても使われるようになっています。一方で一般的なグミは砂糖が多く、合成着色料が使われることも少なくありません。研究チームは、こうした背景のもとで「ソルガム(モロコシ)の葉から得た抽出物を、合成着色料の代わりに使えるか」を確かめようとしました。
ソルガムは乾燥に強く栽培しやすい作物ですが、著者らによれば、米国は世界最大の生産国であるにもかかわらず国内生産の2%未満しか食用市場に回っていません。ソルガムの茎や葉にはポリフェノール(植物に含まれる色や渋みのもとになる成分群)が含まれることが報告されています。論文は、果実や茶の抽出物をグミに配合した研究はあるものの、ソルガム由来のポリフェノールを低カロリーのゼラチングミに使った研究はこれまでないと述べ、本研究を概念実証(実現可能性を確かめる段階の検証)と位置づけています。
何を調べたか
研究チームは、砂糖を使わず、アルロースとステビアで甘みをつけたゼラチングミを4種類つくりました。着色は、合成着色料(赤40号、赤3号、黄5号、黄6号、青1号、青2号、緑)を使ったものと、赤いソルガムの葉の抽出物を使ったものの2系統で、それぞれ濃度の低いもの(抽出物0.1 mg/mL)と高いもの(1.0 mg/mL)を用意しています。抽出物の量をあえて低く抑えたのは、市販の合成着色グミと見た目をそろえて比較できるようにするためだと説明されています。
できたグミについては、水分活性(食品中で微生物が利用できる水の指標)、硬さと弾力、色の測定、抽出物の総ポリフェノール量を調べました。さらに105人の成人が参加する官能評価を行い、色・香り・食感・風味・全体的な好ましさを9段階で、甘さと苦味を3段階で評価してもらいました。購入意向は、情報なしの状態、着色料の情報を伝えた後、甘味料の情報を伝えた後の3回、順に尋ねています。この研究では製造は1バッチのみです。
主な結果
色の機器測定では、天然着色と合成着色の差(ΔE)は低濃度で1.23、高濃度で1.39でした。論文は、ΔEが2以下なら消費者には気づかれにくい水準とされると説明しています。ところが人の評価では、高濃度どうしの比較でソルガムの葉で着色したグミのほうが色の好ましさが有意に高く、平均点は5.7から6.3に上がりました。著者らは、機器測定が固まりきる前に行われ、消費者は固まった後に見たという時点の違いなどを可能性として挙げていますが、色の安定性は本研究では評価しておらず、説明は推測にとどまるとしています。
高濃度どうしの比較では、香り・食感・風味・全体的な好ましさに有意差は見られませんでした。苦味については、天然着色のほうが「苦味なし」と答えた人の割合が高く、弱い苦味・強い苦味とした人の割合は低くなりました。物性面では、天然着色のグミは合成着色のものより弾力が高く、水分活性は0.77〜0.80でした。著者らは、これがグミで一般に推奨される範囲(0.45〜0.75)をやや上回る一方、冷蔵を要しない食品についてFDAが定める0.85という限界値は下回っていると述べています。
購入意向は情報によって大きく動きました。情報なしの段階では天然着色の低濃度が30.5%、高濃度が43.8%でしたが、着色料の情報を伝えた後にはそれぞれ49.5%、61%へと有意に上昇しました。逆に合成着色のグミは着色料情報の後におよそ25%まで有意に下がり、「砂糖不使用・ノンカロリー甘味料使用」という甘味料情報の後に38.1%(低濃度)と36.2%(高濃度)へ回復しました。なお、ソルガムを食べたことがあると答えた参加者は20%にとどまっています。
この研究が示すこと
著者らは、ソルガムの葉のポリフェノール抽出物が、主要な官能特性を損なわずにグミに配合でき、合成着色料に代わる消費者に受け入れられる天然着色料として機能しうると結論づけています。ただしこれは実現可能性を確かめる段階の研究で、完成した製品ではありません。論文自身が、複雑なグミからはポリフェノールをうまく抽出できず完成品のポリフェノール量や抗酸化性を測れなかったこと、色の安定性を調べていないこと、水分活性が推奨範囲を超えていたこと、製造が1バッチのみであることを限界として挙げています。
合成着色料の使用をめぐる関心が高まるなかで、これまで多くが飼料や燃料に向けられてきた作物の葉が、身近な菓子の色をつける素材として検討されうる――この研究は、その入り口を具体的なデータで示したものだと言えます。
著者:Jaymi Peterson(Grain Quality and Structure Research Unit, Center for Grain and Animal Health Research, Agricultural Research Service, U.S. Department of Agriculture, Manhattan, KS 66502, USA)、Mayra Perez‐Fajardo(Grain Quality and Structure Research Unit, Center for Grain and Animal Health Research, Agricultural Research Service, U.S. Department of Agriculture, Manhattan, KS 66502, USA)、Cole Peterson(College of Business Administration, Kansas State University, 919 Mid-Campus Drive North, Manhattan, KS 66506, USA)、Ádina L. Santana(Department of Grain and Food Science, Kansas State University, 1301 Mid-Campus Drive, Manhattan, KS 66506, USA)、Conrad Kabus(Department of Grain and Food Science, Kansas State University, 1301 Mid-Campus Drive, Manhattan, KS 66506, USA)、Ryan Ardoin(Food Processing and Sensory Quality Research Unit, Southern Regional Research Center, Agricultural Research Service, U.S. Department of Agriculture, New Orleans, LA 70124, USA)、Dmitriy Smolensky(Grain Quality and Structure Research Unit, Center for Grain and Animal Health Research, Agricultural Research Service, U.S. Department of Agriculture, Manhattan, KS 66502, USA)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jaymi Peterson, Mayra Perez‐Fajardo, Cole Peterson, et al. Development and Consumer Acceptance of Low-Sugar Gummy Candies Naturally Colored with Sorghum Leaf Polyphenols. Foods 2026-08-28. DOI: 10.3390/foods15173037. 原著ライセンス:CC BY.