白米の代わりになる「ライスアナログ」をご存じでしょうか。米以外の穀物や芋類の粉を、押出成形(エクストルージョン)という加工技術で米粒のような形に仕立てた食品です。今回紹介する研究では、雑穀の一種であるソルガム(モロコシ)を主原料にしたインスタントライスアナログに、モディファイドキャッサバ粉(mocaf)とカボチャ粉を組み合わせることで、デンプンの消化されやすさや食感、味の好まれ方がどう変化するかが調べられました。
研究でわかったこと
この研究では、ソルガム粉の一部をmocafとカボチャ粉に置き換えた配合で、押出成形によるインスタントライスアナログが作られ、その特性が比較されました。mocafとカボチャ粉の配合割合を増やしていくと、食物繊維、β-カロテン、総フェノール、そして消化されにくいとされる「レジスタントスターチ」の含有量が有意に増加したと報告されています。ソルガム粉:mocaf:カボチャ粉を20:40:40(w/w/w)の割合で配合したものでは、食物繊維が5.71g/100g、β-カロテンが32.66μg/g、総フェノールが9.15mg GAE/g、レジスタントスターチが6.84%に達したとされています。
一方で、mocafとカボチャ粉の割合が増えるほど、消化されやすいデンプン(易消化性デンプン)の量やデンプン全体の消化率、かさ密度、そして硬さは低下する傾向が見られたとのことです。フーリエ変換赤外分光法(FTIR)による分析では新しい化学構造(官能基)の生成は見られなかったものの、デンプンの中で結晶構造を持たない「非晶質」部分の割合が増えていることが確認され、デンプンの構造そのものに変化が生じていることが示唆されています。この点は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察でも、より多孔質な組織になっている様子が確認されたことで裏付けられたとされています。
官能評価(人が実際に食べて評価するテスト)では、すべての配合について全体的に受け入れられる評価が得られたと報告されています。中でもソルガム粉:mocaf:カボチャ粉を40:30:30(w/w/w)の割合で配合したものは、香りと味の評価が最も高く、全体的な好ましさの評価も上位であったとされています。研究チームは、これらの複合粉を組み合わせることでデンプンの構造を変化させつつ、良好な官能的な品質を保てる可能性が示されたとまとめています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
今回の内容は、特定の配合条件下での実験結果であり、この一つの研究だけで結論が確定したわけではありません。また、要旨に基づく限り、実際にヒトが摂取した際の健康への影響について直接検証したものではなく、あくまで食品の成分特性・消化性・官能評価に関する知見です。研究チームは、こうしたライスアナログが、地域で入手しやすい原料を使った機能性のある主食としての可能性を持つことを示唆していると位置づけています。
まとめ
ソルガムベースのインスタントライスアナログにmocafとカボチャ粉を加えることで、食物繊維やβ-カロテン、レジスタントスターチなどの含有量が増加し、デンプンの消化されやすさや食感が変化することが、この研究では報告されています。官能評価でも全体的に受け入れられる結果が得られており、複合原料を活用した米代替食品の可能性を示す知見といえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ソルガムベースのインスタントライスアナログにモディファイドキャッサバ粉およびカボチャ粉を強化することによるデンプン消化性、機能特性、官能受容性の改善(ポーランド食品栄養科学誌・2026年07月)