日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:Geriatrics

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

食べ物がのどに詰まる窒息は、高齢者の不慮の死の主な原因の一つとされています。病院では、食べ物や飲み物をうまく飲み込めるかを確かめるため、ベッドサイドで簡単な嚥下(えんげ)スクリーニング検査が行われます。この検査に合格した患者は、より固さのある食事へ進むことがあります。

ただし研究チームによると、こうした検査は本来、飲食物が誤って気管に入る「誤嚥」を見分けるものとして妥当性が確かめられており、窒息を見分ける検査としては検証されていません。そこで著者らは、記録された窒息が、スクリーニング検査の点数や患者の基礎疾患とどう関係しているかを調べました。

どのように調べたか

研究は日本の一つの総合病院で、過去の記録を振り返って分析する方法で行われました。対象は、2009年から2026年の間に摂食・嚥下の治療のために紹介された入院患者のうち、口から食事をとっていた2420人で、平均年齢は82.6歳でした。

使われたのは、少量の水を飲んでもらう「改訂水飲みテスト」と、少量の食べ物を食べてもらう「フードテスト」という2つのスクリーニング検査です。研究チームは、それぞれの点数ごとに窒息の記録がどの程度あったかを調べました。さらに、脳血管疾患の患者を比較の基準とし、年齢、性別、両検査の点数、経管栄養や点滴による栄養の有無の影響をそろえたうえで、病気の種類と窒息との関係を統計的に分析しました。

主な結果

窒息が記録されていたのは75人で、全体の3.10%でした。フードテストで合格とされる点数(4点または5点)だった患者は2172人(89.8%)で、75件の窒息のうち72件がこのグループで起きていました。このグループで窒息が記録された割合は3.31%で、1〜3点の患者の1.21%を上回っていました。また、どちらの検査でも、点数が高いほど窒息が記録された割合が高くなっていました。

病気の種類との関係では、脳血管疾患の患者と比べて、認知症の患者では窒息の起こりやすさの目安となる調整オッズ比が3.77(95%信頼区間1.86〜7.67)、廃用症候群(長く体を動かさないことで心身の機能が低下した状態)の患者では3.09(同1.63〜5.86)でした。これは、検査の点数などの影響をそろえても、これらの病気と窒息の記録との間に関連が見られたことを示しています。

研究が示すこと

著者らは、窒息の記録はスクリーニング検査の点数が良好で、より固い食事を出されていた可能性のある患者でも起きていたと述べています。一方で、これらの検査が窒息をどの程度予測できるかは、今回の研究では確かめられなかったとしています。

また、認知症と廃用症候群は検査の点数とは別に窒息と関連しており、こうした患者では食事の形態を固いものへ進める前に注意が必要かもしれないと論文は指摘しています。ただし、今回の結果は既存の記録をあとから分析したもので、関連を示したものであり原因を示したものではありません。研究チームは、前向きな研究による確認が必要だとしています。

原著論文の著者・所属:Takashi Hase(Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Noto General Hospital, 6-4 Fujihashi-machi, Nanao 926-0816, Ishikawa, Japan)、Makoto Murahashi(Department of Oral and Maxillofacial Functional Reconstruction, Graduate School of Medicine, University of the Ryukyus, 1076 Kiyuna, Ginowan 901-2725, Okinawa, Japan)、Iyo Kimura(Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Nanto Municipal Hospital, 938 Inami, Nanto 932-0211, Toyama, Japan)、Hiroko Tsujii(Department of Nutrition, Noto General Hospital, 6-4 Fujihashi-machi, Nanao 926-0816, Ishikawa, Japan)、Fumika Yabukoshi(Department of Rehabilitation, Noto General Hospital, 6-4 Fujihashi-machi, Nanao 926-0816, Ishikawa, Japan)、Hiroyuki Nakamura(Department of Oral and Maxillofacial Functional Reconstruction, Graduate School of Medicine, University of the Ryukyus, 1076 Kiyuna, Ginowan 901-2725, Okinawa, Japan; Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Saiseikai Toyama Hospital, 33-1 Kusunoki, Toyama 931-8533, Toyama, Japan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Takashi Hase, Makoto Murahashi, Iyo Kimura, et al. Bedside Swallowing Screening Scores, Dementia, Disuse Syndrome and Recorded Choking in Hospitalised Patients: A Retrospective Cross-Sectional Study. Geriatrics 2026-10-29. DOI: 10.3390/geriatrics11060156. 原著ライセンス:CC BY.