この研究は、ペルーの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Frontiers in Sustainable Food Systems

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: Crossref

何を明らかにしようとした研究か

食料不安とは、必要な食べ物を十分に手に入れられない状態を指します。著者らは、この食料不安が食べ物を手に入れられるかどうかだけでなく、実際に購入する量にも影響しうると述べています。ただし、ペルーにおいて食料不安が果物や野菜といった個別の食品グループの購入とどう関係しているかについては、これまで得られている証拠が限られていました。

そこで研究チームは、ペルーの家庭を対象に、食料不安の深刻さと、食品を購入する確率および購入量との関連を評価することを目的としました。

どのように調べたか

論文によれば、2025年の全国世帯調査(ENAHO)に参加した32,053世帯のデータを用いた横断研究が実施されました。横断研究とは、ある一時点の状況をまとめて観察する調査方法です。

食料不安の程度は、食料不安経験尺度(FIES)という0〜8点の指標で測定されました。購入量については、果物、野菜、豆類、穀物・擬似穀物および穀物由来食品、魚介類、加工肉、加糖飲料について、1人あたりの量が推定されています。分析には、購入する確率の違いを示す指標と、購入量の平均的な差を示す指標を求める統計手法が用いられ、複雑な調査設計を考慮した処理が行われたと報告されています。

報告された主な結果

著者らの報告では、FIESの得点が1点高くなるごとに、果物の購入は2.6%低く(調整平均比0.974、95%信頼区間0.968〜0.980)、野菜の購入は1.3%低い(調整平均比0.987、95%信頼区間0.982〜0.992)という関連がみられました。

また、食料不安がより深刻な世帯では、魚介類、加工肉、炭酸飲料を購入する確率が低いことも示されています。一方、穀物・擬似穀物および穀物由来食品については、連続的な分析ではわずかに正の関連が認められたものの、深刻さの段階ごとに区切った分析では一貫した傾き(段階が上がるにつれて一方向に変化する傾向)は確認されなかったと報告されています。

なお、ここで示されているのは統計的な関連であり、食料不安が購入の変化を引き起こしたという因果関係を示したものではありません。

この研究が示すこと

論文の結論として著者らは、食料不安がより深刻であることは、すべての食品グループが一律に減るのではなく、特に果物と野菜において選択的に購入が縮小する形と関連していた、と述べています。

つまり、家庭の食卓が縮むとき、その縮み方は均等ではないかもしれない――この研究は、食料不安を考えるうえで「量」だけでなく「何が減るのか」に目を向ける必要があることを示しています。

著者:Jacksaint Saintila(aestría en Nutrición Humana, Escuela de Posgrado, Universidad Peruana Unión, Lima, Peru)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jacksaint Saintila. Food insecurity severity, household food acquisition patterns, and food basket contraction in Peru: a national analysis of ENAHO 2025. Frontiers in Sustainable Food Systems 2026-09-01. DOI: 10.3389/fsufs.2026.1966104. 原著ライセンス:CC BY.