著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Medicine
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
胆石症は、胆のうの中に石のような固まりができる病気で、胆のう炎や膵炎、胆道の詰まりなどにつながることがあります。論文によると、米国では成人の約10〜20%に胆石があり、胆のう摘出手術は年間70万件を超えるとされています。年齢、女性であること、肥満などが危険因子として知られており、食生活も関わると考えられてきました。
一方、腸内細菌叢(腸内にすむ細菌の集まり)は、胆汁酸やコレステロールの代謝に関わることが知られています。研究チームは、腸内細菌叢にとって好ましい食事かどうかを点数化した新しい指標「DI-GM(腸内細菌叢のための食事指標)」に注目しました。著者らによれば、このDI-GMと胆石症の関係を米国成人で調べた研究はこれまでなかったといいます。そこで、DI-GMの点数と胆石症の有無との関連を調べ、さらに食事の「炎症を起こしやすさ」がその関連にどの程度関わっているかも検討しました。
何を調べたか
研究チームは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)の2017年〜2020年3月のデータを用い、20歳以上の5669人を分析しました。胆石症の有無は、医師などから胆石があると言われたことがあるかという本人の回答で判断しています。
食事内容は、2回の24時間思い出し調査(前日に食べたものをすべて聞き取る方法)から把握しました。DI-GMは14の食事要素から成り、アボカド、ブロッコリー、ひよこ豆、コーヒー、クランベリー、発酵乳製品、食物繊維、緑茶、大豆、全粒穀物の10項目を腸内細菌叢に好ましいもの、赤身肉、加工肉、精製穀物、脂肪の多い食事の4項目を好ましくないものとして扱います。各項目を0点か1点で採点し、合計0〜14点で、点数が高いほど腸内細菌叢に好ましい食事パターンを表します。
あわせて、食事が体内の炎症を促しやすいか抑えやすいかを示す「食事性炎症指数(DII)」も計算しました。分析では、年齢、性別、人種・民族、BMI、喫煙、高血圧、糖尿病などの影響を考慮しています。
主な結果
対象者のうち602人(10.6%)が胆石症と判定されました。胆石症のある人は、ない人に比べて年齢が高く、女性の割合が高く、高血圧や糖尿病の割合も高く、BMIも高い傾向でした。DI-GMの平均点は、胆石症のある人で4.68点、ない人で4.90点と、胆石症のある人のほうがやや低くなっていました。
他の要因を考慮した分析でも、DI-GMが1点高いごとに胆石症がある見込み(オッズ)は約8%低いという関連が見られました(オッズ比0.92)。点数で4つのグループに分けると、6点以上のグループは0〜3点のグループに比べて胆石症のオッズが低く(調整後のオッズ比0.71)、点数が高いほどオッズが低くなる傾向も統計的に確認されました。この傾向は、年齢、性別、人種・民族、喫煙状況、BMIで分けた集団でもおおむね一貫していました。
DI-GMが高い人ほどDIIが低い、つまり食事の炎症を起こしやすさが低い傾向もありました。媒介分析(ある関連が別の要因を通じてどの程度説明されるかを推定する手法)では、DI-GMと胆石症の関連のうち約28%がDIIを通じたものと推定されました。ただし著者らは、横断研究で時間的な前後関係が分からないため、これは因果的な仕組みの証明ではなく、探索的な間接的関連として解釈すべきだとしています。
研究が示すこと
この研究は、腸内細菌叢に好ましいとされる食事パターンをとっている人ほど、胆石症のある割合が低いという関連を、米国成人の全国データで示しました。また、その関連の一部が食事の炎症を起こしやすさと結びついている可能性も示されています。
一方で、ある時点の状態を調べた横断研究であるため、こうした食事が胆石を防ぐという因果関係までは分かりません。胆石症の判定が自己申告に基づくこと、2日分の食事調査では普段の食習慣を十分に捉えきれない可能性があること、腸内細菌叢そのものは測定していないことも、著者らは限界として挙げています。食事の質と胆石症の関係を考えるうえで、腸内細菌叢という視点から新たな手がかりを示した報告といえます。
原著論文の著者・所属:Wenwen Ni(Department of General Surgery, Deqing People’s Hospital (Deqing Campus, Sir Run Run Shaw Hospital, School of Medicine, Zhejiang University), Deqing, Zhejiang, China)、Changqing Deng(Department of Gastroenterology, Meizhou People’s Hospital, Meizhou Academy of Medical Sciences, Meizhou, China)、Yijin Chen(Department of Gastroenterology, Meizhou People’s Hospital, Meizhou Academy of Medical Sciences, Meizhou, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wenwen Ni, Changqing Deng, Yijin Chen. Association between the dietary index for gut microbiota and gallstone disease: A cross-sectional analysis considering the Dietary Inflammatory Index. Medicine 2026-07-31. DOI: 10.1097/md.0000000000049813. 原著ライセンス:CC BY.