著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:LWT

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

超音波の強さと消化されにくさの関係を調べる

研究チームは、ブルーベリー由来の色素成分であるアントシアニンとジャガイモでんぷんを組み合わせ、超音波処理の強さによって、でんぷんの構造や消化されにくさがどう変わるかを調べました。さらに、処理した素材を蒸しパンに加えても、その特徴が保たれるかを検証しました。

実験では、でんぷんとアントシアニン抽出物の混合液を約30℃に保ち、装置の出力設定を300、400、500 Wに変えて20分間処理しました。主な比較対象は、同じ材料を超音波を使わずに混ぜた試料です。研究チームは、試験管内の消化試験に加え、分子の並び方や結晶構造、加熱したときの性質などを調べました。

400 Wで難消化性でんぷんの割合が最大に

著者らによると、試験条件下で消化されずに残る「難消化性でんぷん」の割合は、300 Wから400 Wにかけて増え、500 Wでは低下しました。400 Wでは35.65%となり、超音波を使わずに混ぜた試料に比べて96.02%増加しました。強く処理するほど消化されにくくなるわけではない、という結果です。

構造の分析では、400 Wの試料は難消化性でんぷんが最も多い一方、広い範囲で分子が規則正しく並ぶ結晶部分の割合は最も低くなっていました。ただし、より小さな範囲での分子の並びは、一部が保たれるか、組み替わっていることが示されました。

研究チームは、消化されにくさの増加を、単に結晶が増えたためとは説明していません。結晶構造の崩れと局所的な分子の再編成、でんぷんとアントシアニンの結びつきが組み合わさって関係していると解釈しています。

蒸しパンでも特徴が保たれた

研究チームは、最も高い消化抵抗性を示した400 W処理の素材を小麦粉に5%加え、蒸しパンを作りました。論文は、蒸しパンにしても消化されにくさの向上が保たれ、硬さや、かみごたえを示す測定値も低下したと報告しています。

今回の消化されにくさは試験管内で確かめたもので、人が食べた後の血糖上昇が抑えられることを直接示したものではありません。研究が伝えるのは、でんぷんの消化されやすさには結晶の多さだけでなく、異なる大きさの構造の変化が関わり、その特徴が食品に加工した後にも保たれうるということです。

原著論文の著者・所属:Xu Si(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Xinwei Wang(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Wenzhuo Jin(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Yanwen Shi(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Yao Ma(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Chunting Qu(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Jiaxin Li(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Yiwen Bao(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Jinlong Tian(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)、Bin Li(College of Food Science, Shenyang Agricultural University, Shenyang, Liaoning, 110866, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Xu Si, Xinwei Wang, Wenzhuo Jin, et al. Effect of ultrasound treatment on the ordered structure and digestive resistance formation of anthocyanin-complexed potato starch. LWT 2026-09-15. DOI: 10.1016/j.lwt.2026.119977. 原著ライセンス:CC BY.