著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Pengabdian Magister Pendidikan IPA

ライセンス: CC BY 3.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

インドネシア・ロンボク島西部のスコトン地区チェンディ・マニック村では、マングローブガニ(ノコギリガザミ類)を地域の資源として活かす取り組みが進められています。その一つが「クピティン・プレスト・クリスピー」です。圧力鍋でカニの硬い部分を柔らかくし、衣をつけて揚げることでサクサクの食感に仕上げた加工食品です。

研究チームは以前、地元の観光推進グループ「POKDARWIS Bagek Kembar」に、この製品の作り方を研修で紹介していました。当時は従来の中華鍋とコンロで揚げていたため、仕上がりが油の状態や揚げ時間を管理する作り手の腕に左右されやすいという課題がありました。揚げた後に表面に残る油が食感や食べやすさに影響する点も指摘されていました。そこで今回の取り組みでは、揚げ物用の機器であるディープフライヤーと、揚げた製品の油を切る機械(スピナー)を導入しました。グループがこれらの機器を自分たちで使いこなせるようにすること、そして研修の前後で参加者の理解がどう変わったかを評価することを目的としています。

取り組みの内容と評価方法

研修は、講義、討論、機器の操作の実演、参加者自身による実習、評価という形で進められました。製造工程は次のとおりです。カニを選別・洗浄し、圧力鍋で加熱してから冷まし、味付けと衣付けをします。これをディープフライヤーで揚げ、軽く油を切ってからスピナーにかけ、表面に残った油を減らします。最後に、色、食感、サクサク感、表面の油の状態を目で見て確認します。参加者は、機器の準備、操作、停止、清掃、基本的な手入れまで実際に体験しました。

研修の効果は、研修前後に行ったアンケートで評価されました。尋ねたのは、製造機器の役割の理解、スピナーの操作の理解、揚げる技術を安全かつ正しく使う方法の理解、機器の基本的な手入れの能力の4項目です。参加者は各項目について、1(まったくそう思わない)から5(とてもそう思う)までの5段階で答えました。

主な結果

4項目の平均点は、研修前の2.81から研修後の4.63へ上がりました。満点に対する割合でみると、約56%から約93%への上昇にあたります。

上昇幅が最も大きかったのは、スピナーの操作と、揚げる技術の安全で正しい使い方の理解で、どちらも2.00から4.50へ上がりました。著者らは、スピナーが一部の参加者にとってなじみのない機器だったため、研修前の点数が比較的低かったと説明しています。製造機器の役割の理解は2.75から4.50へ上がりました。基本的な手入れの能力は研修前から4.50と高く、研修後は満点の5.00でした。この項目の上昇幅が小さいことについて、著者らは研修の効果が低かったためではなく、もともとの点数が満点に近く、伸びる余地が少なかったためだと説明しています。

著者らは、ディープフライヤーによって従来の中華鍋よりも管理された条件で揚げられるようになり、スピナーによって揚げた後の油切りの工程が加わったと報告しています。ただし、製品の油分や水分を検査室で測定する分析は行っていません。そのため論文は、機器の導入で油分が実際に減った、あるいは日持ちが良くなったとはまだ結論づけられないと明記しています。

この取り組みが示すこと

この報告は、地域の生産グループに新しい機器を届けるとき、機器を渡すだけでなく、実演と実習を通じて使い方を身につけてもらうことが大切だと示しています。研修後の点数の向上は、参加者自身が感じる理解度が高まったことを表しています。論文は、ここで確認できたのは製造工程の技術と人の能力の向上であり、製品の品質そのものの改善は今後の検証が必要だと区別しています。著者らは今回の取り組みを、新製品の紹介という段階から、より標準化された製造工程づくりへ進むための一歩と位置づけています。

原著論文の著者・所属:Diamahesa, Wastu Ayu、Hak, Muhammad Baiul(Universitas Mataram)、Sinaga, Yesica Marcelina Romauli(Universitas Mataram)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Diamahesa, Wastu Ayu, Hak, Muhammad Baiul, Sinaga, Yesica Marcelina Romauli. Penguatan Teknologi Proses Produksi Kepiting Presto Crispy Menggunakan Deep Fryer dan Mesin Peniris Minyak pada POKDARWIS Bagek Kembar, Sekotong. Jurnal Pengabdian Magister Pendidikan IPA 2026-08-20. DOI: . 原著ライセンス:CC BY.