著者の所属・活動拠点の国は、ガーナです。

掲載誌:BMC Public Health

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

貧血と過体重・肥満の重なりを調べる

研究チームは、ガーナの女性で貧血と過体重・肥満が同時にみられる割合と、その地域差を調べました。貧血と体重の過剰は相反する状態とは限らず、同じ人に重なることがあります。研究では、それぞれが多い地域と、両方を併せ持つ女性が多い地域が一致するかにも着目しました。

分析には、2022年ガーナ人口保健調査のデータを用いました。対象は、妊娠していない20~49歳の女性のうち、身長と体重から算出する体格指数BMIと、貧血の判定に必要な測定値がそろった5,611人です。血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの濃度に基づいて貧血を判定し、調査の抽出方法を考慮して全国と16地域の割合を推定しました。

全国では17.71%、地域によって異なる分布

研究チームの報告では、対象となる女性の貧血の割合は39.77%、過体重・肥満は50.22%でした。両方が同時にみられる割合は17.71%で、約6人に1人に相当します。

両方が重なる割合の推定値は、ウェスタン地域が26.88%と最も高く、ノースイースト地域が6.10%と最も低くなりました。ただし、これらは幅のある推定値であり、地域の順位が隣り合う場合まで明確な差があるとは限りません。

貧血が多い地域と、過体重・肥満が多い地域の分布は異なりました。貧血の割合が最も高かったのはオティ地域で、過体重・肥満はグレーター・アクラ地域でした。著者らは、貧血が多い地域が、そのまま両方の状態が重なる割合の高い地域になるわけではないと報告しています。

年齢や世帯の豊かさとの関連と、結果の意味

年齢、教育、居住地、食事に関する指標などを同時に考慮した分析でも、年齢が高い女性ほど、両方の状態が重なる割合が高いという関連がみられました。40~49歳では20~29歳の2.08倍でした。また、世帯の保有資産に基づく豊かさを5段階に分けると、最も豊かな層は最も貧しい層の2.84倍でした。これは所得そのものの比較ではなく、一時点の調査から原因と結果の方向を判断することもできません。

各地域の年齢や社会経済状況などの構成を全国と同じ条件にそろえて推定すると、地域差の一部は小さくなりましたが、差は残りました。ただし著者らは、残った差だけで地域環境の影響が証明されたとは解釈していません。

この研究では貧血の原因までは特定しておらず、鉄不足によるものと決めつけることはできません。著者らが示したのは、過体重・肥満があっても貧血を併せ持つ女性が少なくなく、その重なり方も地域によって異なるということです。体重の過剰と貧血を別々の問題としてだけ捉えないことの重要性が伝わる結果です。

原著論文の著者・所属:Solomon Abomabiik(Department of Epidemiology and Biostatistics, University of Health and Allied Sciences, Ho, Ghana)、Samuel Kwame Agyei Boateng(Department of Epidemiology and Biostatistics, University of Health and Allied Sciences, Ho, Ghana)、Daniel Quansah(Gomoa West Health Directorate, Ghana Health Service, Apam, Ghana)、Gideon Kye-Duodu(Department of Epidemiology and Biostatistics, University of Health and Allied Sciences, Ho, Ghana)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Solomon Abomabiik, Samuel Kwame Agyei Boateng, Daniel Quansah, et al. Regional disparities in concurrent anaemia and overweight/obesity among women in Ghana: a nationally representative analysis of the 2022 Ghana Demographic and Health Survey. BMC Public Health 2026-10-31. DOI: 10.1186/s12889-026-30053-0. 原著ライセンス:CC BY.