この研究は、チリ、スペインの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Healthcare

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

食事の質は、若い成人の健康を左右する重要な要因のひとつと考えられています。しかし著者らによれば、大学生において、日々の食習慣と体格に関する指標がどのように結びついているのかは、まだ十分に解明されていません。

そこで研究チームは、チリの大学生を対象に、食習慣と体格の指標との関連を調べることを目的とした研究を行いました。

何をどう調べたか

研究チームは、2025年6月から11月にかけて、チリ南部の大学生を対象とする横断研究を実施しました。横断研究とは、ある時点の状態をまとめて調べる方法で、時間の前後関係までは追いません。参加者は374人で、そのうち40.3%が女性でした。

食習慣は、チリで妥当性が確認されている質問票を用いて評価し、そこから「健康的な食事」「不健康な食事」「全体的な食事」の3種類の得点を算出しました。体格については、体格指数(BMI、体重と身長から計算する指標)、ウエスト周囲径、身長に対するウエストの比(WHtR)を実際に測定しています。

分析では、年齢と性別の影響を調整したうえで、食事の得点と体格の指標との関係を統計的に検討しました。さらに探索的な解析として、質問票の得点構造が妥当かを確かめる心理測定的な評価や、多数の比較を行うことで偶然の見かけ上の関連が増えるのを抑えるFDR補正などを加えています。

報告された主な結果

著者らの報告によると、あらかじめ定めた3つの食事得点は、いずれもBMIとは関連していませんでした。「不健康な食事」の得点はウエスト周囲径と正の方向で関連する傾向がみられ、得点が1点高いごとにウエスト周囲径が0.285cm大きい(95%信頼区間0.011〜0.560)という結果でしたが、FDR補正を行うと統計的に意味のある差とは言えなくなりました。

一方、質問項目を個別に見る探索的な解析では、FDR補正の後も残る関連がいくつか見つかりました。砂糖入り飲料をとることはウエスト周囲径の大きさと結びついており、朝食をとることはBMIの低さと結びついていました。

また、質問票の得点構造そのものについては、「健康的な食事」と「不健康な食事」という2領域に分ける前提が部分的にしか支持されず、とくに不健康な食事の領域で裏づけが弱かったと報告されています。なお、この研究はある時点の測定を比べたものであり、示されているのは関連であって、食習慣が体格の変化を引き起こしたことを示すものではありません。

この研究が示すこと

著者らは、あらかじめ決めた食事の総合得点と体格の指標との関連は限定的だったとまとめています。そのうえで、砂糖入り飲料や朝食といった個々の食習慣が、総合得点だけでは捉えきれない情報を補ってくれる可能性を示唆しました。ただしこれらは探索的な分析による所見であり、著者ら自身、今後の縦断研究での確認と質問票のさらなる妥当性検証が必要だと述べています。

食事の良し悪しを一つの点数にまとめる見方と、個々の行動を一つずつ見る見方。この研究は、その両方に目を向ける必要があることを、大学生という集団の実測データから示した報告といえます。

著者:Andrés Godoy-Cumillaf(Grupo de Investigación en Educación Física, Salud y Calidad de Vida (EFISAL), Facultad de Educación, Universidad Autónoma de Chile, Temuco 4780000, Chile)、Josivaldo de Souza-Lima(Facultad de Educación y Ciencias Sociales, Instituto del Deporte y Bienestar, Universidad Andres Bello, Las Condes, Santiago 7550000, Chile)、Maribel Parra-Saldías(Departamento de Educación Física, Deporte y Recreación, Universidad de Atacama, Copiapó 1530000, Chile)、Daniel Duclos‐Bastías(METIS Research Lab, Facultad de Negocios y Tecnología, Universidad Alfonso X el Sabio (UAX), 28691 Madrid, Spain)、Claudio Farías‐Valenzuela(Escuela de Ciencias de la Actividad Física, Universidad de Las Américas, Santiago 8320000, Chile)、Eugenio Merellano-Navarro(Department of Physical Activity Sciences, Faculty of Education Sciences, Universidad Católica del Maule, Talca 3530000, Chile)、José Bruneau-Chávez(Departamento de Educación Física, Deportes y Recreación, Universidad de la Frontera, Temuco 4811230, Chile)、Valentina Díaz-Goñi(Health and Social Research Center, Universidad de Castilla-La Mancha, 16002 Cuenca, Spain)、Bruno Bizzozero‐Peroni(Faculty of Education, Universidad de Castilla-La Mancha, 13071 Ciudad Real, Spain)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Andrés Godoy-Cumillaf, Josivaldo de Souza-Lima, Maribel Parra-Saldías, et al. Associations of Overall Diet Quality and Individual Dietary Behaviours with Anthropometric Outcomes Among Chilean University Students. Healthcare 2026-09-11. DOI: 10.3390/healthcare14182963. 原著ライセンス:CC BY.