著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Journal of Pharmaceutical Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
抹茶そのものの研究を見分ける
著者らは、抹茶の成分や体への作用について、どこまでが抹茶そのものを調べた知見なのかを明らかにするため、既存の研究を整理しました。中心となるのは、粉末にした茶葉を飲む抹茶と、茶葉を湯に浸して成分を抽出する緑茶、成分を濃縮した緑茶抽出物を区別することです。
抹茶では、茶殻として捨てられる部分も摂取します。そのため著者らは、カテキンなどの成分の摂取量だけでなく、消化管で利用される程度も異なる可能性があり、緑茶や抽出物の研究結果をそのまま抹茶の作用とみなせるわけではないと説明しています。
文献から何が分かったか
著者らは、文献データベースで抹茶、カテキンの一種であるEGCG、アミノ酸の一種であるL-テアニンなどを検索し、主要論文の参考文献もたどりました。これは関連文献を読み合わせてまとめる総説で、すべての研究を網羅する系統的レビューではありません。各作用の根拠が、抹茶を使った研究なのか、緑茶や抽出物、単離した成分の研究なのかを区別して整理しました。
総説によると、抹茶を人に摂取してもらう試験から得られた知見は、ストレスの軽減や認知課題の成績に関する領域に比較的多くみられます。ただし、抹茶に特化した臨床試験はまだ少なく、規模も小さいうえ、摂取量や調製方法、評価項目がそろっていないと報告しています。
一方、抗炎症、抗がん、心血管の保護、肥満の抑制など、抹茶に結び付けて語られる多くの作用は、主に緑茶や濃縮抽出物、細胞実験などから推測されたものでした。血糖調節については抹茶を使った動物研究も挙げていますが、人が抹茶を飲んだ場合の効果を直接示すものとは区別しています。
成分の知見と一杯の抹茶の効果は同じではない
安全性についても、著者らは飲料としての抹茶と、高用量のEGCGを含む濃縮サプリメントを分けて説明しています。また、市販の抹茶は栽培条件や加工方法によってカテキンやカフェインの量が異なり、研究同士の比較を難しくしていると述べています。
この総説の結論は、抹茶に効果がないということではありません。緑茶成分について分かっていることと、実際に抹茶を飲むことで確かめられたことには隔たりがある、という点です。抹茶の健康作用を理解するには、その根拠が何を使った研究から得られたのかを見分けることが重要だと著者らはまとめています。
原著論文の著者・所属:Rohit Chavan(Assistant Professor, Department of Pharmacognosy, SNJB’s Shri Sureshdada Jain College of Pharmacy, Chandwad, Nashik, Maharashtra-423101, India)、Rashmi Khairnar(Department of Pharmacy, SNJB’s Shri Sureshdada Jain College of Pharmacy, Chandwad, Nashik, Maharashtra-423101, India)、Pratiksha Aher(Department of Pharmacy, SNJB’s Shri Sureshdada Jain College of Pharmacy, Chandwad, Nashik, Maharashtra-423101, India)、Siddhi Avhad(Department of Pharmacy, SNJB’s Shri Sureshdada Jain College of Pharmacy, Chandwad, Nashik, Maharashtra-423101, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rohit Chavan, Rashmi Khairnar, Pratiksha Aher, et al. Matcha (Camellia sinensis): Bioactive Constituents, Pharmacological Activities, and Emerging Therapeutic Applications — A Comprehensive Review. Journal of Pharmaceutical Sciences 2026-08-23. DOI: 10.5281/zenodo.22071625. 原著ライセンス:CC BY.