著者の所属・活動拠点の国は、南アフリカです。

掲載誌:International Journal of Business Ecosystem and Strategy (2687-2293)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

著者は、アフリカで飢餓や食料不安、栄養不良がどのような状況にあり、その解消がなぜ十分に進んでいないのかを検討しました。対象としたのは、飢餓の解消、食料の安定確保、栄養の改善、持続可能な農業を目指す持続可能な開発目標(SDGs)の目標2です。

各国の食料安全保障政策や、包括的アフリカ農業開発計画(CAADP)に基づく地域的な約束があるにもかかわらず、実施が遅れている理由に焦点を当てています。

何を、どのように調べたか

この研究は、新たな現地調査ではなく、既存の文献や公的資料を読み解く質的研究です。2014~2026年の資料を対象に、飢餓、貧困、食料不安、栄養不足などの語で情報を集めました。査読付き論文に加え、アフリカ連合、アフリカ開発銀行、国連食糧農業機関、世界保健機関などが公開する資料を調べ、学術的な検証ができない意見記事や報道、ブログは除外しました。

分析では、飢餓や子どもの発育阻害などの指標と、政策の実施を妨げる要因を扱いました。その整理に用いたのが「協働ガバナンス」という考え方です。一つの組織だけでは解決できない問題について、政府、企業、非政府組織、小規模農家、国際機関などが、どのように協力して取り組むかに着目しています。

主な報告結果

論文は、アフリカの多くの国で飢餓、食料不安、栄養不良が広がっていると報告しています。その背景として、貧困や失業、紛争、環境災害、政治的不安定など、複数の要因を挙げています。また、取り上げたアフリカ連合の第4回CAADP隔年レビューでは、農業・食料分野のマラボ宣言に掲げられた七つの約束すべてについて、達成に向けて順調に進んでいる国はないとされていました。

著者は、文献から得た課題を、協力を難しくする三つの問題として整理しました。第一は、資金や政治的支援の不足など、取り組みを始める段階の条件の厳しさです。第二は、政策や組織の分断です。省庁間の連携不足、政策目標と現場での実施の隔たり、小規模農家が意思決定から取り残されることなどを指摘しています。第三は、紛争や政治的不安定によって、関係者の協力を支える指導力が損なわれることです。

この報告が示すこと

著者が重視するのは、飢餓解消の目標や政策を掲げるだけでなく、それを実行できる協力体制を整えることです。政府内外の関係者の役割や責任を明確にし、必要な資金と支援を伴わせることが、約束を現場の取り組みにつなぐうえで重要だと論じています。

一方、著者は実地で得た実証データの不足を研究の限界に挙げています。この報告は既存資料を通じてアフリカに共通する課題を整理したものであり、各国で対策を考える際には、それぞれの社会・経済・政治状況や地理的条件を踏まえる必要があるとしています。

原著論文の著者・所属:Shikha Vyas-Doorgapersad(University of Johannesburg)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Shikha Vyas-Doorgapersad. Assessing Sustainable Development Goal 2 and the Challenge of Zero Hunger in Africa. International Journal of Business Ecosystem and Strategy (2687-2293) 2026-11-04. DOI: 10.36096/ijbes.v8i6.1533. 原著ライセンス:CC BY.