著者の所属・活動拠点の国は、ロシアです。
掲載誌:Fisheries
ライセンス: CC BY 4.0 確認元: 論文掲載ページ
あまり知られていない魚の魅力を調べる
研究チームは、アフリカ沿岸で漁獲される魚16種について、焼いたときの味や食感を比較し、食用としての魅力を評価しました。すでに漁業で利用されている魚だけでなく、利用が十分に進んでいない魚も対象に、ロシア市場での位置づけや加工・調理の提案につながる情報を得ることが目的です。
対象は、ギニア、モーリタニア、ギニアビサウ、モザンビークの排他的経済水域で、調査船のトロール漁によって得られた魚です。著者らは試食評価とあわせて、魚の分布、大きさ、成熟状態、漁獲物に現れる状況も調べました。
船上で焼き、香りや口当たりを評価
試食は2024年12月から2025年5月にかけて、船の科学技術部門のメンバー7~10人からなる委員会が行いました。魚を小型オーブンで焼き、見た目、香り、身の色、甘味や塩味、うま味などの味、身の硬さ、ジューシーさ、脂の感じ方を記録しました。最後に、これらを踏まえた「総合的な印象」を10点満点で評価しています。
生物学的な調査では約1万1800尾の大きさを測り、そのうち約3700尾について成熟状態などを調べました。試食結果は魚種ごとの味や食感の特徴としてまとめ、さらに特徴が似た魚を統計的にまとめる分析も行いました。
16種のうち9種を優先的・有望な魚に分類
著者らは「総合的な印象」に基づき、対象魚を「優先的に扱う種」「有望な種」「改善の余地がある種」「魅力が限定的な種」の四つに分類しました。16種のうち9種が、優先的または有望なグループに入りました。これにはタチウオ、バラクーダの一種、ストロマテウスの一種、西アフリカ産のアジの一種などが含まれます。
魚種ごとの記録では、タチウオは身が柔らかく、甘味、塩味、うま味に加えて、クリーミーな後味があると評価されました。西アフリカ産のアジの一種では、うま味と長く残る甘塩っぱい後味が報告されています。一方、サルディネラの一種では細かい骨の多さが焼いた状態での食べやすさを妨げ、アフリカ産のサバの一種では酸味や味の弱さが指摘されました。
研究チームは、この分類を、魚の品ぞろえや、あまり知られていない魚の市場での位置づけを考える基礎として提案しています。今回の研究が示すのは、船上での試食でも魚種ごとの味や食感の違いを整理でき、それぞれの特徴に合った食用利用を考える手がかりになるということです。
原著論文の著者・所属:R. V. Trofimov(Atlantic Branch Russian Federal Research Institute of Fisheries and Oceanography)、G. E. Maslyankin(Atlantic Branch Russian Federal Research Institute of Fisheries and Oceanography)、M. L. Vinokur(Atlantic Branch Russian Federal Research Institute of Fisheries and Oceanography)、F. V. Kolomeyko(Atlantic Branch Russian Federal Research Institute of Fisheries and Oceanography)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):R. V. Trofimov, G. E. Maslyankin, M. L. Vinokur, et al. Ecological and biological characteristics and sensory consumer properties of commercial and promising fish species in Northwest and Southwest Africa. Fisheries 2026-11-02. DOI: 10.36038/0131-6184-2026-5-82-97. 原著ライセンス:CC BY.