歯周炎は歯を支える歯ぐきや骨に炎症が起こる病気で、生活習慣との関わりが指摘されてきました。今回紹介するのは、日々の水分摂取量と歯周炎の関係を、韓国の大規模な国民健康調査のデータを使って調べた研究です。食事に含まれる塩分(ナトリウム)の摂取量によって、この関係の現れ方が違うのかどうかも合わせて検討されています。

研究でわかったこと

この研究では、韓国国民健康栄養調査(2016~2018年)に参加した19歳以上の成人9547人のデータが解析されました。総水分摂取量は、食品・飲料・飲み水を合わせた全体の水分摂取として、24時間思い出し法という調査方法で推定されました。歯周炎の有無は、地域歯周疾患指数(CPI)というスコアが3以上かどうかで判定されています。また、食事性ナトリウム摂取量は、世界保健機関(WHO)の推奨に基づき、1日2000mg以下のグループと2000mg超のグループに分けて分析されました。社会人口統計学的な要因、生活習慣、全身の健康状態などを段階的に調整した上で、複雑な調査デザインを考慮した多変量ロジスティック回帰分析が行われました。

その結果、総水分摂取量が少ないほど歯周炎のオッズ(起こりやすさ)が高くなる傾向が一貫して見られました。すべての要因を調整した後でも、総水分摂取量が最も少ないグループ(1日500mL以下)は、多いグループ(1日1500mL以上)と比べて、歯周炎のオッズが有意に高いという結果でした(オッズ比1.42、95%信頼区間1.15~1.76)。さらに、この関連は食事性ナトリウム摂取量が多いグループ(1日2000mg超)で主に見られ(オッズ比1.42、95%信頼区間1.09~1.84)、ナトリウム摂取量が少ないグループでは統計的に有意な関連は見られなかったと報告されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

著者らは、この結果について「仮説を生み出す段階のもの」としており、十分な水分摂取を促すことが歯周組織の健康にとって修正可能な方策となりうるかどうかは、さらなる検討が必要だと述べています。特に、塩分摂取量が多い集団において、この点をさらに調べる価値があると位置づけられています。この研究は横断的な調査データに基づくものであり、水分摂取量と歯周炎の因果関係を直接証明するものではない点に注意が必要です。

まとめ

今回の研究では、韓国の成人を対象とした全国調査データにおいて、総水分摂取量が少ないことと歯周炎のオッズの高さとの関連が示され、この関連は食事性ナトリウム摂取量が多い人で顕著だったことが報告されました。これは一つの研究の結果であり、水分摂取を増やせば歯周炎を予防できると結論づけるものではありませんが、今後の研究の手がかりとなる知見といえそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:韓国成人における総水分摂取量と歯周炎:全国代表調査からのエビデンス(パブメド・2026年08月)