この研究は、ポーランドの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Processes

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ハムやソーセージなどの食肉加工品に含まれる塩化ナトリウム(食塩)を減らすことは、栄養面の改善につながる取り組みとして重要だと考えられています。しかし食塩は、単に味を付けるだけでなく、肉のタンパク質に働きかけて水分を保ち、加熱後の弾力や硬さといった食感をつくる役割も担っています。そのため食塩を減らすと、製造上の扱いやすさや食べたときの品質が損なわれやすいという問題があります。

この研究で著者らは、ジャガイモデンプンとタラガム(マメ科の植物タラの種子から得られる増粘多糖類)を一定の割合で組み合わせた材料を加えた豚肉製品を用い、食塩をどこまで減らすと品質にどのような変化が生じるのかを調べました。

調べ方

著者らは、ジャガイモデンプンとタラガムの配合を固定したうえで、食塩の量だけを0.57%、1.14%、1.71%、2.28%と変えたモデル製品をつくりました。これらについて、物理化学的な性質、食感(テクスチャー)、官能特性(人が食べて感じる特徴)を、保存期間を通して測定しています。

得られた多数の測定値をまとめて扱うために、主成分分析(多くの測定項目の傾向を少数の軸に要約する統計手法)や相関分析といった多変量解析を用い、さらに複数の品質指標を統合した総合的な品質指数を適用したと報告されています。

報告された主な結果

対照区と比べ、食塩を50%減らした水準(1.14%)では、加熱時の損失が2.66%から3.22%へ増加しました。また保存20日後の自由水(食品中で結合せず動きやすい状態の水分)の割合は0.73%から2.23%へ増え、同じく保存20日後の硬さは20.84Nから16.28Nへ低下しました。著者らは、これらをタンパク質のネットワーク構造が弱まったことを示す変化だと説明しています。

一方で、試験したジャガイモデンプンとタラガムの配合は、検討したいずれの食塩水準においても、保水性と構造に関する性質を許容できる範囲に保ったと報告されています。ただし食塩を段階的に減らすほど、複数の品質指標が悪化する傾向も同時に認められました。分析では、ナトリウム含量と硬さ、水分に関わる指標との間に強い相関が観察されています。最も食塩が少ない水準では品質の低下がみられましたが、1.14%の配合は許容できる性質を維持したと述べられています。

この報告が示すこと

著者らの報告は、食塩を減らすと豚肉製品の保水性や食感が確かに弱まる一方で、ジャガイモデンプンとタラガムを組み合わせた配合を用いれば、食塩を半分にした条件でも品質を許容できる範囲にとどめられたことを示しています。減塩と品質維持という相反しやすい二つの課題に対し、材料の組み合わせによる一つの手がかりを提示した研究といえます。

著者:Błażej Błaszak(Faculty of Chemical Technology and Engineering, Bydgoszcz University of Science and Technology, Seminaryjna 3, 85-326 Bydgoszcz, Poland)、Anna Długosz(Faculty of Chemical Technology and Engineering, Bydgoszcz University of Science and Technology, Seminaryjna 3, 85-326 Bydgoszcz, Poland)、Grażyna Gozdecka(Faculty of Chemical Technology and Engineering, Bydgoszcz University of Science and Technology, Seminaryjna 3, 85-326 Bydgoszcz, Poland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Błażej Błaszak, Anna Długosz, Grażyna Gozdecka. Tara Gum and Potato Starch Mixtures as a Strategy for Maintaining the Quality of Low Sodium Pork Meat Products. Processes 2026-09-09. DOI: 10.3390/pr14182879. 原著ライセンス:CC BY.