日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:World Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

思春期の貧血の実態を調べる

研究チームは、ジンバブエの首都ハラレで学校に通う若者について、貧血がどの程度みられ、どのような生活背景や食習慣と関連するかを調べました。ジンバブエでは貧血が公衆衛生上の課題となっていますが、思春期の若者を対象とした対策に役立つ情報は限られていました。

貧血は、赤血球や、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが通常より少ない状態です。思春期は急速な成長に伴って栄養の必要量が増えるため、研究チームはこの年代の貧血の頻度と重症度に着目しました。

血液測定と質問票で分かったこと

研究チームは、ハラレの公立中等学校10校で調査し、14~19歳の386人のデータを分析しました。指先から採取した血液でヘモグロビン濃度を測り、標高の影響を補正したうえで、貧血の有無と重症度を分類しました。身長や体重なども測定し、質問票で家庭の状況、食習慣、栄養知識、身体活動を調べました。

著者らが報告した貧血の割合は、参加者全体の41.4%でした。女子では男子より貧血が多く、女子では中等度、男子では軽度の貧血が最も多くみられました。一方、体格を示すBMIや、腹囲と身長・腰囲の比率には、貧血の重症度との統計的に有意な関連は認められませんでした。

複数の要因を同時に考慮した分析では、世帯主の教育歴が高等教育ではなく初等教育までの場合や、参加者のバランスのよい栄養に関する知識が不十分な場合に、より重い貧血の区分に入る傾向が報告されました。ここで測定したのは一般的な栄養知識であり、貧血に特化した知識ではありません。

食事を抜く頻度との関連と、研究が伝える意味

食事を抜く頻度については、頻度が低い参加者ほど、より重い貧血の区分に入る傾向が報告されました。著者らは、この予想とは逆方向の関連について、食事の質や内容、測定していない要因、回答の偏りなどが関わる可能性を挙げています。一時点の状態を調べた研究なので、食事を抜くことが貧血を防ぐと示した結果ではありません。

著者らは、今回の結果を、学校や家庭を通じた栄養教育と貧血予防の取り組みが必要であることを示すものと位置づけています。この研究が伝えるのは、調査した若者の貧血が少なくなく、体格だけでなく、家庭の教育背景や本人の栄養知識にも目を向ける重要性です。

著者:Ashleigh Pencil(Osaka Metropolitan University)、Kudzai Munetsi(Department of Nutrition, Dietetics and Food Sciences (DNDFS) , University of Zimbabwe , Zimbabwe;)、Thomas Mavhu Chuchu(University of Suffolk , Waterfront Building , 19 Neptune Quay , Ipswich IP4 1QJ , UK)、Nobuko Kay Hongu(Graduate School of Human Life and Ecology , Osaka Metropolitan University , 2 Chome-1-132 Morinomiya , Joto Ward , Osaka 536-8525 , Japan;)、Naomi Hayami‐Chisuwa(Graduate School of Human Life and Ecology , Osaka Metropolitan University , 2 Chome-1-132 Morinomiya , Joto Ward , Osaka 536-8525 , Japan;)、Tonderayi M. Matsungo(Department of Nutrition, Dietetics and Food Sciences (DNDFS) , University of Zimbabwe , Zimbabwe;)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ashleigh Pencil, Kudzai Munetsi, Thomas Mavhu Chuchu, et al. Anaemia Among In-School Adolescents from Harare, Zimbabwe: Prevalence and Key Drivers. World Nutrition 2026-09-30. DOI: 10.26596/wn.2026173124-135. 原著ライセンス:CC BY.