著者の所属・活動拠点の国は、ドイツです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite

どんな伝え方が人を動かすのかを調べる

肉や乳製品など従来の動物性食品に代わるたんぱく源は「代替たんぱく質」と呼ばれます。LIKE-A-PROプロジェクトの研究チームは、こうした食品に人々が関心を持ち、実際に関わるきっかけを作るには、どのようなコミュニケーションが有効かを調べる試験的な取り組み(パイロット)を行い、その内容をファクトシートとして報告しました。

ここでは、公開されている要旨に記された目的、方法、結果を紹介します。

3か国でSNSキャンペーンを実施

研究チームは、オランダ、デンマーク、スペインの3か国で、3週間にわたるソーシャルメディア上のキャンペーンを実施しました。

キャンペーンでは、健康や環境の持続可能性に関わる、異なる「メッセージフレーム」が使われました。メッセージフレームとは、同じ話題を伝える際の切り口や強調点のことです。どの伝え方がより多くの反応を得られるかを比べることが、この試みのねらいでした。

前向きなメッセージが安定して反応を得た

報告によると、キャンペーンは3万7000人以上に届き、1663回のクリックがあり、レシピのダウンロードは487件に上りました。

メッセージの種類別に見ると、前向きで「得られる利点」を強調する伝え方(ゲインフレーム)が、最も安定して良い反応を示しました。一方で、より否定的な内容や、行動を迫るような圧力を感じさせるメッセージは、かえって反発を生む可能性があるとされています。

また、結果は国によって異なり、著者らは、伝え方をそれぞれの地域の事情に合わせることの重要性を指摘しています。

関心のきっかけと、その先に必要なもの

研究チームは、前向きで実用的、かつ文化的に身近なコミュニケーションが、代替たんぱく質への最初の関心や関わりを引き出しうると結論づけています。

ただし、こうした伝え方だけで食習慣の変化が長続きするわけではなく、持続的な行動の変化には、それを後押しする食の環境や、繰り返し実践できる機会が欠かせないとしています。伝え方の工夫は入り口であり、その先を支える環境づくりとあわせて考える必要があることを、この報告は示しています。

原著論文の著者・所属:Xhelili, Arlind(Collaborating Centre on Sustainable Consumption and Production)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Xhelili, Arlind. LIKE-A-PRO | Beyond choice behavioural pilot factsheet. Using communication to encourage alternative protein engagement. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-10-30. DOI: 10.5281/zenodo.23803828. 原著ライセンス:CC BY.