健康的に年を重ねる、いわゆる「healthy aging」には、日々の身体活動や食生活が関わっているといわれています。では、性別や年齢によって、これらの生活習慣にはどのような違いがあるのでしょうか。今回紹介するのは、ブラジルの中高年者を対象に、身体活動と食事パターンの性差・年齢差を調べた研究です。中高年期における「動く量」や「食べる中身」が、男女や年代によってどう異なるのかを知ることは、今後の健康づくりを考えるうえでのヒントになりそうです。
研究でわかったこと
この研究では、ブラジルの高齢化に関する縦断研究「ELSI-Brazil(ブラジル加齢縦断研究)」に参加した、施設に入所していない50歳以上の成人9,949人のデータが分析されました。身体活動については国際標準の質問票(IPAQ)と、活動の強度に関する3つの頻度質問を用いて評価され、食事については野菜・果物・ジュース・赤身肉の摂取頻度に関する構造化された質問で調べられました。統計解析では、記述統計と、調査の重み付けを考慮したロジスティック回帰分析によって、95%信頼区間とともに関連が推定されています。
その結果、男性は女性に比べて中強度・高強度の身体活動を行っている割合が高いことが示されました。また、身体活動量は年齢が上がるにつれて低下する傾向がみられ、80歳以上の成人は50〜59歳の成人に比べて「身体的に不活発」である可能性が78%高いと報告されています。
食事内容についても性差が見られました。女性は野菜や果物の摂取頻度が高いと回答した一方、男性は赤身肉の摂取頻度が高いと回答する傾向がありました。さらに年齢による違いも示されており、とくに70歳以上の高齢者は、若い年代に比べて果物やジュースをより頻繁に摂取していると報告し、果物摂取が少ないと回答する割合も低いことが示されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、ブラジルの中高年者を対象とした一つの調査研究であり、ここで示された関連が、他の国や地域の集団にもそのまま当てはまるとは限りません。また、身体活動や食事の内容は本人の回答に基づいて評価されており、実際の行動を厳密に測定したものではない点にも留意が必要です。研究者らは、身体活動や特定の食品摂取における性差・年齢差を踏まえ、健康的な加齢を後押しするためには、対象者の特性に応じた個別化されたアプローチの必要性が示唆される、としています。
まとめ
今回の研究では、ブラジルの50歳以上を対象とした大規模データから、身体活動は男性で活発な傾向があり加齢とともに低下しやすいこと、また野菜・果物は女性で、赤身肉は男性で摂取頻度が高い傾向にあることが報告されました。年齢や性別によって生活習慣の傾向が異なる可能性を示すデータとして、今後の研究や施策を考えるうえでの一つの手がかりになりそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ブラジル人中高年者における身体活動と食事パターンの性差・年齢差:ELSI-ブラジルからのエビデンス(アメリカン・ジャーナル・オブ・ライフスタイル・メディシン・2026年08月)