この研究は、リビアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Attahadi Medical Journal
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
お茶(Camellia sinensis)は世界で広く飲まれている飲料で、緑茶・黄茶・白茶・ウーロン茶・紅茶・黒茶といった種類が、発酵の程度の違いによって分けられます。論文は、習慣的なお茶の摂取と慢性疾患リスクの低さとの間に関連が報告されていること、一方でその作用の仕組みはまだ十分に解明されていないことを紹介したうえで、お茶に含まれる成分そのものを測ることを研究の出発点としています。
著者らは、リビアではこれまで分光法やGC-MS、炎光光度法などを使って地域の植物を調べる研究が行われてきたものの、市販のお茶についてのデータは不足していると述べています。そこで本研究は、リビア北東部アル・バイダ市の地元市場で売られているお茶を対象に、総フェノール含量と抗酸化能がどのように分布しているかを調べることを主な目的としました。
何をどう調べたか
研究チームは、アル・バイダ市内の複数の店舗から紅茶と緑茶あわせて10種類の商品を購入しました。各試料30グラムを105℃で2時間かけて乾燥させ、冷ました後にすりつぶし、使用するまで容器に保管しています。
測定には分光光度法が用いられました。これは、試薬と反応させた溶液に光を当て、どれだけ光を吸収するかから成分量を見積もる方法です。あらかじめ濃度の分かった標準液で検量線(濃度と吸光度の関係を示す直線)を作り、それと照らし合わせて試料の濃度を求めます。
抗酸化成分の量は、タンニン酸を基準物質として波長720ナノメートルで測定されました。総フェノール量の測定には、フェノール性化合物と反応して発色するフォリン・チオカルト試薬を用いる方法が使われ、標準溶液の測定は波長650ナノメートルで行われています。それぞれの結果は、基準物質に換算した濃度(ppm、100万分の1の割合)として報告されています。
報告された主な結果
論文によると、タンニンとして表された抗酸化成分の量は試料によって13.34〜59.44 ppmの幅があり、最も多かったのはAlgafela茶、最も少なかったのはLipton茶でした。
総フェノール含量は24.00〜59.538 ppmの範囲で、こちらも最も多かったのはAlgafela茶、最も少なかったのはAhmad茶と報告されています。
そして著者らは、紅茶の試料と比べると緑茶の試料のほうが総フェノール含量も抗酸化能も高かったとまとめています。結論では、こうした含量の差は主に紅茶の加工工程の違いと、茶樹が育った産地の違いによるものだと述べられています。
この研究が示すこと
同じ「お茶」として店頭に並んでいる商品でも、含まれるフェノール性化合物や抗酸化成分の量には銘柄ごとにかなりの開きがあり、とくに緑茶と紅茶とで傾向が異なる——これが、リビアの市場で実際に売られている10種類を測った本研究から読み取れる内容です。
著者らは、これまでデータが乏しかった地域の市販茶について、比較可能な実測値を示しました。身近な飲料の成分を地元の市場に即して把握するという意味で、基礎的な情報を一つ加えた研究といえます。
著者:Hamad Hasan(Department of Chemistry, Faculty of Science, University of Omar Al-Mukhtar, Libya)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hamad Hasan. Estimation of the Contents of Total Phenols and Antioxidants in Some Tea Samples by Spectrophotometric Method. Attahadi Medical Journal 2026-08-28. DOI: 10.69667/amj.26326. 原著ライセンス:CC BY.