著者の所属・活動拠点の国は、カザフスタンです。
掲載誌:Bulletin of Shakarim University Technical Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
カザフスタンの研究チームは、食品産業ではまだあまり使われていない4種類の穀物、すなわち裸性オーツ麦、裸性大麦、ライ小麦(トリティケール)、グリーンそばの穀粒について、化学組成と物理的な性質を調べました。「裸性」とは、収穫・脱穀の際に穀粒を包む殻が外れやすい性質を指します。ライ小麦は小麦とライ麦を掛け合わせて生まれた穀物です。
著者らは、これらの穀物にはたんぱく質や食物繊維、ビタミン、フラボノイドなどのポリフェノール類が含まれ、他の研究でも健康とのかかわりが論じられていると述べています。一方で、生産量が限られているため、栄養面の情報がまだ十分ではありません。カザフスタンでは春小麦に偏った作付けを見直し、新しい作物を広げる動きがあります。これを踏まえ、論文はこうした穀物を機能性食品の原料として検討するための基礎データを得ることを目的としています。
何をどのように調べたか
研究には、カザフスタンの穀物研究機関から提供された4種類の穀粒が使われました。水分は試料を一定温度で乾燥させて重さの変化から求め、灰分は試料を高温で燃やした後の残り(ミネラル量の目安)から測りました。脂質は有機溶媒で抽出し、たんぱく質は試料中の窒素量から算出しました。粗繊維は、薄い硫酸で煮沸しても溶け残る成分として求めています。
さらに、炭水化物の組成とアミノ酸の組成を、成分を分離して測定する液体クロマトグラフィーなどの機器分析で調べました。すべての測定は3回ずつ繰り返し行われています。
主な結果
たんぱく質が最も多かったのは裸性オーツ麦で、16.17%でした。脂質も裸性オーツ麦が最も多く4.31%、最も少なかったのはグリーンそばで1.54%でした。炭水化物はグリーンそばが最も多く、73.87%でした。
ミネラル量の目安となる灰分は、グリーンそばの0.16%から裸性大麦の1.22%まで幅がありました。粗繊維はグリーンそばが最も多く3.52%で、最も少なかったのはライ小麦の2.18%でした。水分は裸性大麦が最も低く11.5%、ライ小麦が最も高く13.06%でした。
アミノ酸の分析では、人が食事からとる必要のある必須アミノ酸を含む12項目が比べられました。論文によると、フェニルアラニンはライ小麦(0.84%)、アルギニンはグリーンそば(1.80%)、セリン(1.01%)とバリン(0.94%)は裸性大麦で最も多く含まれていました。一方、リシンとトレオニンは裸性オーツ麦で最も少なく(それぞれ0.42%と0.33%)、チロシンとグリシンはグリーンそばで最も少ないという結果でした。
研究が示すこと
著者らは結論で、裸性オーツ麦はたんぱく質と脂質、グリーンそばは炭水化物と食物繊維、裸性大麦はミネラルにそれぞれ特徴があり、穀物ごとに異なる栄養上の個性を持つとまとめています。そのうえで、これらの穀物は、発酵食品を含む機能性食品の原料として有望だと述べています。
今回の研究は穀粒そのものの成分を測定し比較したもので、実際に食品を作ったり、食べたときの健康への影響を調べたりしたものではありません。あまり利用されてこなかった穀物それぞれの栄養上の特徴を数値で示し、原料として選ぶ際の手がかりを提供した点に、この研究の意味があります。
原著論文の著者・所属:S. Kamanova(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、G. Akshoraeva(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、B. Kalemshariv(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、G. Ospankulova(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):S. Kamanova, G. Akshoraeva, B. Kalemshariv, et al. PROSPECTS FOR THE USE OF NAKED OATS, BARLEY, TRITICALE, AND GREEN BUCKWHEAT IN THE PRODUCTION OF FUNCTIONAL FOOD PRODUCTS. Bulletin of Shakarim University Technical Sciences 2026-07-29. DOI: 10.53360/2788-7995-2026-2(22)-25. 原著ライセンス:CC BY.