著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:Journal of Texture Studies
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
水などで溶いて凍らせるだけでシャーベットになる粉末ミックスには、二つの条件が求められます。一つは、粉の状態で扱いやすいこと。もう一つは、溶いて凍らせたときにシャーベットとしてふさわしい組織ができることです。
この研究は、イチゴとオーツ麦を使った粉末ミックスで、砂糖(ショ糖)をほかの原料に置き換えた場合に、粉の性質と凍らせた後の食感がどう変わるかを調べたものです。研究チームの抄録に記載された内容をもとに紹介します。
何を比べたのか
著者らは、ショ糖を含む対照のミックスと、ショ糖をマルトデキストリン(でんぷん由来の糖質素材)、イヌリン(食物繊維の一種)、市販の高甘味度甘味料ブレンドで置き換えたイチゴ・オーツ麦ミックスを比較しました。
それぞれ独立に3回ずつ作ったバッチを使い、乾いた粉の状態と、水で溶いてかき混ぜながら凍らせた後の状態の両方で評価しています。
主な結果
粉の状態では、ショ糖を置き換えた粉末は安息角が大きく(44度対39度)、圧縮に必要な力が小さい(2.65ニュートン対7.65ニュートン)という結果でした。安息角とは、粉を積み上げたときにできる山の斜面の角度で、粉の流れやすさの目安に使われます。一方、水になじむまでの時間はどちらも約4秒でした。
成分では、置き換えた粉末のほうが総食物繊維がやや多く(4.76%対4.27%)、報告されたたんぱく質と、差し引き法で推定した炭水化物には統計的な差はありませんでした。
凍らせたシャーベットでは、置き換えたほうが、容器内の試料に器具を押し込んで測る力(バックエクストルージョン力)が大きく(6.50ニュートン対4.25ニュートン)、押し込みへの抵抗が大きい食感でした。空気の含まれ具合を示すオーバーランはどちらも約50%と同程度でした。利用できた融解のデータでは、溶けたときに流れ出る量が少ない傾向が示されました。
研究チームは成分と食感の結果をあわせて検討しましたが、比べた配合が2種類だけで、繰り返しごとの流動特性や融解のデータがそろっていなかったため、相関係数は計算していません。
研究が示すこと
著者らは、ショ糖を置き換えると粉の扱いやすさと凍らせた後の食感の間にトレードオフ(一方の性質を得ると別の性質にも変化が生じる関係)が生じると結論づけています。
また、この結果は置き換えたミックスの栄養面での優位性を示すものではなく、個々の原料がそれぞれどのような影響を与えたかを切り分けたものでもないとしています。砂糖を減らした粉末デザートを設計する際に、粉の段階と凍らせた後の段階の両方を見る必要があることを示した研究といえます。
著者:Caroline dos Santos Lima(Department of Biochemical‐Pharmaceutical Technology, School of Pharmaceutical Sciences University of São Paulo (USP) São Paulo Brazil)、Suzana Caetano da Silva Lannes(Department of Biochemical‐Pharmaceutical Technology, School of Pharmaceutical Sciences University of São Paulo (USP) São Paulo Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Caroline dos Santos Lima, Suzana Caetano da Silva Lannes. Powder Handling and Frozen Texture of a Reconstitutable Strawberry–Oat Sorbet Premix After Sucrose Replacement. Journal of Texture Studies 2026-10-01. DOI: 10.1111/jtxs.70124. 原著ライセンス:CC BY.