体重や体格指数(BMI)が正常範囲であっても、体脂肪率だけが高い状態は「正常体重肥満(Normal Weight Obesity、NWO)」と呼ばれ、見た目では気づきにくい一方で代謝の異常と関連することが知られています。中国人の女子大学生ではこのNWOの割合が高いとされていますが、これまで生活習慣、とりわけ食事の内容に注目した研究は限られていました。今回紹介する研究は、この点に焦点を当て、NWOに該当する学生とそうでない学生とで、生活習慣・食事摂取・身体活動にどのような違いがあるのかを調べたものです。
どのように調べたのか
研究の対象は18〜23歳の女子大学生70人です。参加者は、BMIが18.5〜23.9kg/m²の「正常体重」の範囲に収まる人の中で、体脂肪率が男性で20%以上、女性で30%以上の場合を「NWO群」、それ未満の場合を「非NWO群」に分類しました。
身体計測に加えて、食事摂取量は食事記録法によって評価されました。具体的には、食べたものを写真に記録するとともに、実際に食品を計量し、使用した食材の詳細まで追跡するという手法が用いられています。得られたデータをもとに、中国および日本の食品成分表を用いて栄養素の構成が分析されました。日本の食品成分表が分析に使われている点は、日本の読者にとっても親しみやすいポイントといえます。あわせて身体活動量も評価され、これらの指標がNWO群と非NWO群の間でどう異なるかが統計的に比較されました。
何がわかったのか
まず、1日の総エネルギー摂取量については、NWO群と非NWO群のあいだで差は見られませんでした。単純に「食べる量が多いか少ないか」では両群の違いを説明できなかったことになります。
一方で違いが見られたのが「間食(スナック)」に由来するエネルギー摂取量でした。間食から摂取するカロリーの量は両群で異なっており、さらに総エネルギー摂取量に占める間食由来カロリーの割合(間食カロリー比率)についても、両群のあいだで差がある傾向が示されました。
身体活動については、総身体活動量、および座っている時間(座位時間)のいずれについても、両群のあいだに明確な差は見られなかったとされています。つまり今回の結果からは、運動量や日常の活動量そのものよりも、間食の量や摂取パターンのほうが、NWOとの関連という点で注目される要因として浮かび上がったことになります。
この研究をどう読むか
この研究は、70人の中国人女子大学生を対象とした横断的な調査であり、ある一時点でのデータをもとにした比較です。そのため、間食の摂取パターンとNWOとの間に因果関係があるかどうかを、この結果だけから結論づけることはできません。また対象は特定の年齢層・性別・地域の集団に限られており、他の集団にそのまま当てはまるとは限らない点にも留意が必要です。あくまで一つの研究であり、結論が確定したわけではありません。
まとめ
この研究では、BMIが正常範囲であっても体脂肪率が高い「正常体重肥満」の状態にある中国人女子大学生において、総エネルギー摂取量や身体活動量には非NWOの学生との明確な差が見られなかった一方で、間食由来のカロリー摂取量やその比率には違いが見られる傾向が示されました。著者らは、こうした間食の量や摂取パターンへの対応が、NWOの予防を考えるうえで注目に値すると述べています。今後、より大規模な調査や追跡研究によって、この関連がさらに検証されていくことが期待されます。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Miho Sugiura, Shian-Yang Tzeng, Minato Nakazawa. Comparison of Lifestyle Factors, Dietary Intake, and Physical Activity Among Female Chinese University Students With and Without Normal Weight Obesity. キュレウス (2026). DOI: 10.7759/cureus.114154. 原著ライセンス: cc-by.