「朝型・夜型」といった個人の体内時計のタイプ(クロノタイプ)や、日勤・夜勤が入れ替わる「交代勤務」は、日々の食事のリズムや食べ方に影響するのではないか——そんな疑問を持ったことはないでしょうか。不規則な勤務時間や、自分に合わない時間帯の生活は、朝食を抜いたり、間食が増えたりと、食習慣を乱す要因になりうると考えられています。今回紹介する研究は、こうした交代勤務やクロノタイプが、成人女性の身体活動や食行動とどのように関連しているのかを調べたものです。

研究でわかったこと

この研究は、イスタンブールの肥満カウンセリングセンターに通う18〜64歳の女性190人(平均年齢33.31±7.87歳)を対象にした横断研究です。参加者の社会人口統計学的データ、食習慣、勤務スケジュール、行動データを構造化された質問票で収集し、身長・体重などの身体計測は標準的な手順で行われました。クロノタイプは「朝型-夜型質問紙(MEQ)」、身体活動量は「国際標準化身体活動質問紙(IPAQ)」、食行動は「オランダ食行動質問紙(DEBQ)」という、それぞれ広く使われている評価ツールを用いて測定されています。

結果として、交代勤務をしている人は、固定の勤務スケジュールで働く人に比べて、食事の回数がより頻繁である割合が高く(77.9% 対 59.6%)、朝食を欠食する割合も高い(51.2% 対 16.3%)ことが示されました。また、肥満(obesity)に分類された参加者は、他のBMI群と比べて、感情に任せて食べる「感情的摂食」や、周囲の食べ物の刺激に反応して食べる「外的摂食」のスコア、DEBQの総合スコア、そして食事回数がいずれも高い傾向にあったと報告されています。さらに、クロノタイプのスコアは年齢、喫煙、飲酒、職業に関する要因によって違いが見られたものの、身長や体重といった身体計測値そのものとは直接的な関連は見られなかったとされています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、交代勤務が食事回数の増加や朝食欠食といった不規則な食習慣、そして食行動の変化と関連している可能性を示唆するものです。ただし、著者ら自身が述べているように、この研究はある一時点でのデータを対象とした横断研究であり、単一の施設(イスタンブールの肥満カウンセリングセンター)を対象としているため、「交代勤務が原因で食習慣が乱れる」という因果関係を証明するものではなく、また他の集団に当てはまるかどうか(一般化可能性)にも限界があります。あくまで一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点に注意が必要です。著者らも、クロノタイプや生活習慣、肥満に関連する行動の関係をより深く理解し、効果的な介入法を開発するためには、より大規模で追跡型の研究が必要だと述べています。

まとめ

今回の研究では、成人女性を対象に、交代勤務をしている人は固定勤務の人に比べて食事回数が多く、朝食を欠食しやすい傾向があること、また肥満に分類された人では感情的摂食や外的摂食などの食行動スコアが高い傾向にあったことが報告されました。一方でクロノタイプそのものと身体計測値との直接的な関連は見られなかったとされています。横断研究という性質上、因果関係の解釈には慎重さが求められますが、勤務形態や体内時計のタイプと食習慣・食行動との関係を考えるうえで、興味深い手がかりを与えてくれる研究といえるでしょう。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:成人女性における交代勤務およびクロノタイプと身体活動・食行動との関連(ニュートリエンツ・2026年08月)