この研究は、ブラジルの研究機関の研究論文です。

掲載誌:ACS Omega

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

使い終わった食用油(廃食用油)には、油の成分が分解してできる「遊離脂肪酸」が含まれます。これは油を再利用する際に扱いを難しくする成分で、あらかじめ取り除く前処理が求められます。

この研究で著者らは、解体工事などで出るコンクリート・レンガ・陶磁器タイルの廃材を高温で焼いたものを「吸着材」(目的の物質を表面にくっつけて取り除く材料)として使い、廃食用油の遊離脂肪酸をどれだけ減らせるかを評価することを目的としたと述べています。

調べ方

研究チームは、コンクリート、レンガ、陶磁器タイルの廃材を集め、590〜297マイクロメートルの粒度に粉砕したうえで、850℃で焼成(カルシネーション)しました。

焼成した材料の性質は、電子顕微鏡と元素分析(SEM-EDS)、赤外分光(FTIR)、X線回折(XRD)、熱重量分析(TGA)といった手法で調べられています。吸着の実験は、25℃・毎分150回転の撹拌・360分という穏やかな条件で行われたと報告されています。

報告された主な結果

焼成によって材料の多孔性と表面のアルカリ性が高まり、酸を中和する働きをもつ酸化カルシウム(CaO)とケイ酸塩(SiO2)の相が増えたことが確認されたと報告されています。

試した3種類のうち最も効率が高かったのはコンクリート廃材で、遊離脂肪酸を62%減少させました。これに対し陶磁器タイル残渣は23%、レンガ残渣は17.5%でした。吸着容量は75 mg/gに達し、生石灰やケイ酸カルシウムといった他のアルカリ性吸着材に匹敵する値だったとされています。

反応の速さを表すデータはエロビッチ(Elovich)モデルに最もよく当てはまり(R2 = 0.9865)、不均一な活性点の上で起こる化学吸着が支配的であること、すなわちカルシウムイオン(Ca2+)と脂肪酸のカルボキシル基との相互作用が主であることが示されたと述べられています。吸着後のFTIRスペクトルではカルシウムカルボキシラートの生成が確認され、処理中にpHが7.5から10.5へ上昇したことも、吸着材のアルカリ性と遊離脂肪酸の中和を裏づけるものとして報告されています。

この結果が意味すること

文献データとの比較解析からも、熱処理したコンクリート廃材が穏やかな運転条件のもとで高い遊離脂肪酸の低減を達成したことが示されたと著者らは述べています。

以上から研究チームは、焼成したコンクリート廃材が、廃食用油の前処理に使える技術的に実行可能で環境面でも持続可能な吸着材であると結論づけています。廃棄物として扱われてきた建設材料に、別の廃棄物を扱うための役割を見いだした点が、この報告の要点です。

著者:Laís Fernanda Juchem do Nascimento(Federal University of Paraná , , ,)、Joel Gustavo Teleken(Federal University of Paraná , , ,)、Fabiano Bisinella Scheufele(Federal University of Technology − Paraná , , ,)、Thompson Ricardo Weiser Meier(Federal University of Paraná , , ,)、Paulo André Cremonez(Federal University of Technology − Paraná , , ,)、Rodrigo Brackmann(Federal University of Technology − Paraná , , ,)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Laís Fernanda Juchem do Nascimento, Joel Gustavo Teleken, Fabiano Bisinella Scheufele, et al. Thermally Activated Construction Waste as an Efficient Adsorbent for Free Fatty Acid Removal from Waste Cooking Oil. ACS Omega 2026-09-12. DOI: 10.1021/acsomega.6c03383. 原著ライセンス:CC BY.