著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:CyTA - Journal of Food
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
高良姜(こうりょうきょう、学名 Alpinia officinarum Hance)はショウガ科の植物で、食用にも使われる根茎を持ちます。研究チームは、この根茎に含まれる多糖(糖が多数つながった大きな分子)のうち、分子量の大きい成分を取り出しました。論文の抄録によると、その構造を予備的に調べるとともに、試験管内の化学的な試験でラジカルを消去する働きを評価しています。ラジカルとは反応性の高い不安定な分子のことで、こうした試験は、物質がラジカルをどの程度打ち消せるかを化学的に測るために使われます。
どのように調べたか
著者らは、根茎を熱水で抽出し、エタノールを加えて多糖を沈殿させました。さらに、電荷の違いで分けるイオン交換クロマトグラフィーと、分子の大きさで分けるゲルろ過クロマトグラフィーで精製し、「AOP-1A」と名付けた多糖画分を得ました。
次に、分子の大きさ、構成する糖の種類と割合、糖同士のつながり方を複数の分析法で調べました。分子の立体的ならせん構造の有無は、コンゴーレッドという色素を使う試験で確認しています。ラジカル消去活性は、DPPHとABTSという2種類の試薬由来のラジカルを使って評価し、精製前の粗多糖(AOP)とも比較しました。
主な結果
抄録によると、AOP-1Aの大部分は見かけの重量平均分子量が約273万ダルトン(2.73×10⁶ Da)という非常に大きな分子でした。構成糖はほぼグルコース(ブドウ糖)で、グルコース・マンノース・ガラクトースのおおよその比率は9.85対0.06対0.09と報告されています。
糖のつながり方の分析では、グルコースが4位と1位で結合した形(→4)-Glcp-(1→)が主な結合様式で、末端のグルコースや枝分かれ部分をもつグルコースも見られました。赤外分光法と核磁気共鳴(NMR)の結果も、グルコースを主体とし、複数の結合環境を持つ多糖であることを支持していました。一方、試験した条件では、コンゴーレッド試験でらせん構造を示す変化は検出されませんでした。
ラジカル消去試験では、AOP-1AはDPPHラジカルとABTSラジカルの両方に対し、濃度が高いほど強い消去活性を示しました。ただし、濃度1.0 mg/mLで比べると、精製前の粗多糖AOPより活性は低いという結果でした。
研究が示すこと
この研究は、高良姜の根茎から得た、分子量が大きくグルコースを主体とする多糖画分について、構造の初期的な特徴を示したものです。著者らは、分子量が大きいことやグルコースが多いことだけでは、化学的なラジカル消去の働きを予測するには不十分だと述べています。詳しい構造と性質の関係や、食品に関わる機能については、まだ明らかになっていないと論文は位置づけています。
原著論文の著者・所属:Shuhan Yin(School of Life Science and Technology, Wuhan Polytechnic University)、Shuhui Wu(School of Life Science and Technology, Wuhan Polytechnic University)、Ling Zhao(School of Life Science and Technology, Wuhan Polytechnic University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Shuhan Yin, Shuhui Wu, Ling Zhao. Preliminary structural characterization and in vitro radical-scavenging activity of a high molecular weight, glucan-enriched polysaccharide from Alpinia officinarum Hance. CyTA - Journal of Food 2026-10-22. DOI: 10.1080/19476337.2026.2749979. 原著ライセンス:CC BY.