著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:Postharvest Biology and Technology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
収穫後の病害を抑える方法を比較
研究チームは、グアバの果実に大きな被害をもたらす炭疽病を対象に、植物の精油から揮発する成分を使った処理を調べました。収穫後の合成殺菌剤の使用に対する制限が強まるなか、病害の抑制と果実の品質維持につながる方法を探ることが目的です。
シナモン、クローブ、ペッパーローズマリー(Lippia sidoides)の3種類の精油について、病原菌を接種する前または後に果実を揮発成分にさらす処理を行い、合成殺菌剤による処理と比較しました。また、培養条件で病原菌Colletotrichum siamenseの生育や胞子の発芽、菌糸の形や膜への影響を調べ、果実上でも接種24時間後の感染初期の構造を観察しました。
菌への作用と果実での効果は精油によって異なる
培養条件では、ペッパーローズマリーとクローブが菌糸の生育を強く抑え、シナモンは胞子の発芽を抑える作用で優れていました。いずれの精油も菌糸の形を大きく乱しましたが、顕著な膜の損傷が認められたのはペッパーローズマリーだけでした。
病原菌を接種したグアバでは、保存7日後にクローブとペッパーローズマリーの揮発成分による処理で炭疽病の重症度が低下しました。一方、シナモンでは同様の低下はみられず、ペッパーローズマリーでは果実への薬害症状も生じました。菌が果実に侵入するための構造である「付着器」の形成率は、水やシナモンで処理した果実のほうが、クローブやペッパーローズマリーで処理した果実より高いと報告されています。
クローブは病害抑制と品質維持の両面で可能性
病斑の直径を最も小さく抑えたのは、合成殺菌剤のテブコナゾールでした。また、テブコナゾールとクローブの処理は、果実の重量減少、軟化、色の変化、糖などを含む可溶性固形分の増加、酸度の低下を遅らせました。
著者らは、クローブの揮発成分を使う処理を、収穫後のグアバ炭疽病を管理する代替手段として有望だと位置づけています。この研究は、精油の種類によって菌への作用と果実への影響が異なり、クローブでは病害の抑制と品質変化の遅延の両方が報告されたことを示しています。
原著論文の著者・所属:Antonio J. Andrello(Department of Plant Pathology and Nematology, “Luiz de Queiroz” College of Agriculture (ESALQ), University of São Paulo (USP), Piracicaba, Brazil)、Lucas H.S. Barbosa(Department of Biological Science, “Luiz de Queiroz” College of Agriculture (ESALQ), University of São Paulo (USP), Piracicaba, Brazil)、Thais R. Boufleur(Department of Plant Pathology and Nematology, “Luiz de Queiroz” College of Agriculture (ESALQ), University of São Paulo (USP), Piracicaba, Brazil)、Ben-Hur Mattiuzzo、Marise C.M. Parisi(São Paulo's Agency for Agribusiness Technology, Piracicaba, Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Antonio J. Andrello, Lucas H.S. Barbosa, Thais R. Boufleur, et al. Antifungal activity of cinnamon, clove, and pepper rosemary essential oils against Colletotrichum siamense and their vapor phase effects on guava anthracnose and postharvest quality. Postharvest Biology and Technology 2026-09-24. DOI: 10.1016/j.postharvbio.2026.114733. 原著ライセンス:CC BY.