月経前症候群(PMS)や月経困難症(いわゆる月経痛)は、多くの女性が経験する身近な悩みです。これまで食事の『内容』や睡眠の『質』と月経に関する不調との関係が注目されてきましたが、食事や睡眠を『いつ摂るか・いつ行うか』というタイミングの視点からの研究はまだ十分ではありませんでした。月経周期の後半(黄体期後期)にはホルモンの変動が起こり、それが食事や睡眠のリズムの乱れにつながる可能性も指摘されています。今回紹介する研究は、日本人女性を対象に、食事や睡眠のタイミングとPMS症状・月経困難症との関連を調べたものです。
研究でわかったこと
この研究は、健康管理アプリ「あすけん」を通じて集められた426人の日本人女性(平均年齢33±5歳、BMI平均22.2±4.3kg/m2)を対象とした横断研究です。参加者は、PMS症状や月経困難症に関する質問に加え、最初の食事時刻・最後の食事時刻・食事を摂る時間帯の幅(イーティングウィンドウ)といった食事タイミング、起床時刻・就寝時刻・睡眠時間といった睡眠タイミング、さらにクロノタイプ(朝型・夜型といった個人の傾向)や社会的ジェットラグ(平日と休日の睡眠タイミングのずれ)についても回答しました。年齢、BMI、喫煙状況、飲酒状況の影響を調整したうえで、これらの要因とPMS症状・月経困難症との関連が統計的に解析されています。
その結果、平日については、最初の食事時刻が遅いことや起床時刻が早いことが、食事に関連するPMS症状の強さと関連していることが示されました。一方、休日については、最初の食事時刻が早いこと、最後の食事時刻が遅いこと、イーティングウィンドウが長いこと、起床時刻が遅いこと、睡眠時間が長いことが、月経困難症の重症度と関連していると報告されています。
また、朝食を摂る頻度が低いことは食事に関連するPMS症状の強さと関連し、午後の間食が多いことはPMS症状全体・食事に関連する症状・睡眠に関連する症状のいずれの強さとも関連していました。さらに、夜間の間食の頻度が高いほど、中等度から重度のPMS症状を有するオッズ(起こりやすさ)が高い傾向も示されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究では、平日の食事・睡眠タイミングは主に食事に関連するPMS症状と、休日の食事・睡眠タイミングは主に月経困難症の重症度と、それぞれ異なる形で関連していることが示唆されています。研究者らは、社会的なスケジュール(仕事や学校など)によって形作られる行動と、個人の体内時計の傾向とが、月経に関する症状と異なる形で結びついている可能性があると考察しています。
ただし、この研究は横断研究であり、ある時点での関連を調べたものであるため、食事や睡眠のタイミングが月経の不調の『原因』であると結論づけることはできません。論文でも、因果関係を明らかにするためには、今後の追跡調査や介入研究が必要であるとされています。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に留意して読んでいただければと思います。
まとめ
今回の研究では、食事や睡眠を『いつ摂るか・いつ行うか』というタイミングが、PMS症状や月経困難症の強さと関連している可能性が示されました。平日と休日とで関連するパターンが異なっていた点も興味深い発見です。今後さらに研究が進むことで、食事や睡眠のリズムと月経に関する健康との関係がより詳しく明らかになっていくことが期待されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:日本人女性における食事タイミングと睡眠タイミングが月経前症候群および月経困難症に及ぼす関連:横断研究(フロンティアーズ・イン・ニュートリション・2026年07月)